スタイル 質の高い内装
三つのうち、スタイルとアクティバに試乗した。いずれも最高出力52馬力の自然吸気エンジン搭載車。ガソリン1リットル当たり30km(JC08モード)の低燃費を実現している。
先に試乗したのはスタイル。丸いヘッドライトの周りや台形のフロントグリルにメッキを多用して高級感を演出している。
内装はメーカーオプションの「プライム・インテリア」(7万5600円)という仕様になっていた。本革のような白いレザー調のシート表皮やドアトリムは、軽自動車とは思えない高級感があった。インパネの黒いプラスチック部分も、細かい凹凸を付けたシボ加工が施してある。
ダイハツのムーヴカスタムはインパネのプラスチックパネルにちょっと違和感があったが、キャストは上質に仕上げてある。メーターは黒一色に白い文字というシンプルなデザイン。すっきりしていて見やすかった。
安全装備として、歩行者も検知する衝突回避支援システム「スマートアシストII」を搭載している。
低速で力強いエンジン
シート位置とバックミラーを合わせてからシートベルトを締め、販売店の駐車場を出た。目線の位置は、軽ワゴンほどではないがやや高め。頭上には握り拳が縦に二つ入る余裕があり、ゆったりしている。ウインドーが立っているので見切りが良く、前後左右とも安全確認がしやすい。
ダイハツの自然吸気エンジンは低速域から十分な力があり扱いやすい。長距離を走ったり定員で乗車したりする機会が多い人は最高出力64馬力のターボ仕様を選択するのがいいが、個人的には自然吸気で十分と思う。
足回りは堅くもなく、柔らかくもなく中庸。ただ、路面の荒れた場所では小さな凹凸を吸収し切れずに、振動が伝わってくることがあった。新車に標準装着されているエコタイヤは路面のざらつきも大きめに伝えてくるので、気になる人はタイヤを交換する際にコンフォートタイプを選ぶといい。
田辺スポーツパーク前の急な坂道と大きなカーブを通過して田辺バイパスに入った。車高は高めだが、カーブを速めの速度で通過しても腰高という感じはしなかった。最近の軽自動車は高速の安定性にも優れており、バイパス道路の60km巡航はリラックスして走れる。
高級感のある内装に囲まれて運転していると、軽自動車というよりは上級の車に乗っているような気分になる。普通車からの乗り換えやセカンドカーとして利用するには満足度が高いと思う。
ワイルドなアクティバ
次に試乗したアクティバは、イメージががらりと変わる。外観は、車体の下回りをガードする樹脂製の保護板や大きなフォグランプ、高くなった最低地上高などによりワイルドな雰囲気たっぷりだ。室内もインパネのデザインをはじめ、ハンドルを握った感じまで違う。
最低地上高は他のバリエーションに比べて30mm高い180mm。悪路の走破性を高めるために、四輪駆動のモデルにはぬかるみなど滑りやすい路面でタイヤが空転するのを防ぐグリップサポート制御や、滑りやすい下り坂でドライバーがブレーキを操作しなくても一定の車速を維持する機能を装備している。
足回りはスタイルよりも少し堅い。小さなギャップでちょっと跳ねるような傾向は似ている。車高が高くなった分、カーブで大きくステアリングを切り込んだ際の横傾きも大きめのような気がした。
外装色は白い屋根のツートーンカラーも含めると全部で13色、内装色はアクセントとしてシルバー、ブルー、オレンジの3色があり、それぞれ組み合わせを選ぶことができる。試乗車は、白い屋根に青い外装、青い内装を組み合わせていた。
後部座席のシートは軽自動車としては厚めで、ゆったり座れる。座面の長さは平均的だった。このシートは左右独立して前後にスライドするので、座席と荷室の広さを簡単に調節できる。
今回は試乗しなかったが、もう一つのバリエーションであるキャストスポーツはターボエンジン専用車。スポーティーサスペンションや16インチのハイグリップタイヤとアルミホイール、MOMO製革巻きステアリングホイールなどを装備している。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴40年。紀伊民報制作部長。