新車試乗記

日産 デイズ ハイウェイスターG

【スペック】

全長×全幅×全高=3395×1475×1620mm▽ホイールベース=2430mm▽車重=840kg▽駆動方式=FF▽エンジン=659cc水冷3気筒DOHC、36Kw(49馬力)/6500回転、56Nm(5.7kg)/5500回転▽トランスミッション=CVT▽燃料消費率=29.2km(JC08モード)▽車両本体価格=137万9700円

【試乗車提供】

日産プリンス和歌山販売田辺支店
(田辺市上の山1丁目8の16、0739・22・8132)

[2013年7月11日 UP]

 日産自動が三菱自動車と共同で企画した軽自動車「デイズ」に試乗した。普通車のミニバンを思わせるような立体感のあるデザインと質感の高い内装、リッター29.2kmという軽ワゴンでトップクラスの低燃費が自慢だ。

高級感あるスタイル


 大きい車から小さい車に乗り換える「ダウンサイジング」の動きが一段と強まり、維持費が安くて燃費もいい軽自動車の人気が高まっている。軽自動車のマーケットは2011年まで、スズキとダイハツの2強がトップ争いをしていたが、12年にはホンダが「Nシリーズ」を発売して存在感を増した。
 日産はこれまで、三菱とスズキから相手先ブランドによる生産(OEM)を受けて軽自動車を販売してきた。拡大する軽自動車マーケットに対応するため今回、三菱との合弁会社NMKVを設立して新型車を企画した。
 日産はデイズとデイズ・ハイウェイスター、三菱はeKワゴンとeKカスタムを発売した。フロントグリルにはそれぞれ個性を出しているが、車体やエンジンは共通の兄弟車種。今回はその中から、デイズ・ハイウェイスターGに試乗した。
 実車は、高級感のある立体的な造形が印象的だ。特にハイウェイスターは、日産の人気ミニバン、セレナやエルグランドと共通した雰囲気を醸し出している。内装も彫りの深いデザインを採用しており、コストの制約がきつい軽自動車としてはかなり頑張っている。
 内装でユニークなのは、タッチパネル式のエアコン操作パネル。表示がシンプルで見やすく、オン・オフの操作や温度設定が迷わずにできた。
 エンジンは、最高出力49馬力。アイドリングストップ機能付きのグレードは、ガソリン1リットル当たり29.2km(JC08モード)と、背が高い軽ワゴンではトップの燃費性能を実現している。アイドリングストップなしのモデルは25.8km。8月に発売予定のターボエンジンは、最高出力64馬力、燃費はリッター23.4kmとなる。

燃費重視の設定


 試乗車は、シートの着座位置が高めなので、立った姿勢から自然に体を滑り込ませることができる。ハイウェイスターの室内は黒が基調で、シートの座面と背もたれには肌触りが柔らかい布地が使われている。
 副変速機付きのCVT(自動無段変速機)の効果で、発進加速はスムーズだ。燃費重視のセッティングなので、低いエンジン回転を保ちながら速度を上げていく。このエンジンは燃費性能を重視したようで、ライバル車に比べて出力は控えめ。発進加速で不自由を感じることはないが、上り坂や追い越しのさいには、もう少しパワーが欲しくなる。軽快な走りを手に入れたい人は、8月に発売予定のターボを待つのがいいかもしれない。
 燃料の節約に貢献するアイドリングストップは、積極的に働く。赤信号で減速していくと、車速が13km以下になるとエンジンが停止する。再始動もスムーズだ。エアコンを使用していると、信号待ちの停止中でも再始動するようになっている。
 足回りは柔らかめで、しっとりした味付け。路面から伝わってくる騒音の遮断もまずまずのレベルと感じた。
 室内の広さは、軽ワゴンとしては標準的だ。後部座席は前後に170mmスライドするので、利用状況に合わせて座席部分を広くしたり、荷室を広くしたりできる。最後部まで下げると、成人男性でもゆったりくつろげる空間ができる。ただし、この場合、荷室スペースは最小になる。背もたれは、左右の座席ごとにワンタッチで前方に倒して、大きな荷室スペースを作ることができる。

周囲をモニターで確認


 ハイウェイスターGに標準装備されているアラウンドビューモニターは、車庫入れなどでバックをするさいに、車を上空から見下ろしたような画像を映し出す。これまで、一部の上級車種だけに採用されてきたもので、軽自動車への装着は初めて。
 ギアをバックに入れるとルームミラー左側に、車を上から見下ろした画像が映し出される。車体の前後左右4カ所に装着されたカメラからの画像を合成しているのだという。何とも不思議な感じがするが、運転席から直接見えない周囲の障害物や、障害物との距離が確認できるので、とても便利だ。
 女性に喜ばれる装備が、紫外線を99%カットするスーパーUVカット断熱グリーンガラス。フロントドアのガラスに採用されている。紫外線が強い初夏から秋にかけての運転は、一般的なUVカットガラスでは車内にいても日焼けを防ぐのが難しい。UVを99%カットすれば安心という。
 急ブレーキを踏んだときにハザードランプが自動的に高速点滅するエマージェンシーストップシグナルや、ドアロックに連動してドアミラーが自動開閉する機能などを全車に標準装備した。また、キーをポケットに入れておくだけでドアの施錠・解錠やエンジンの始動ができるインテリジェントキーは、中間グレード以上の車種に装備している。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴38年。紀伊民報制作部長。