大きな電動スライドドア
ポルテは、助手席側に大きな電動スライドドア、運転席側の前後に通常のスイングドアを備える。フルモデルチェンジで、兄弟車種としてスペイドも発売された。ポルテは曲線を多用して親しみやすい外観、スペイドは水平基調の精悍(せいかん)なスタイルが特徴。販売の取り扱いは、ポルテがトヨタ店とトヨペット店、スペイドがカローラ店とネッツ店になっている。
ライバルとなる軽自動車の進化はすさまじく、全長3400mm、全幅1480mmという制約のなかでスペースの有効利用が図られてきた。車体が小さいのに室内の広さで小型車を上回るという逆転現象も起きている。ダイハツのタントやホンダのNボックスはその代表で、いずれも人気車になっている。
ポルテのスライドドアは、開口幅が1020mm、開口高が1250mmもある。高さ300mmという低床フロアと相まって乗り降りがしやすい。また、運転席側の後部ドアは、ちょっとした手荷物を後部座席に載せるのに便利だ。
エンジンは、1.5リットル(最高出力109馬力)と1.3リットル(95馬力)の2種類。ボディーカラー、シートタイプ、装備を組み合わせることで、ライフスタイルに合った一台を選ぶことができる。
フロントシートは、ウォークスルーが可能なセパレートシートとゆったり座れるベンチシートがあり、さらに温熱機能や撥水タイプが選べる。装備には「ナノイー・パッケージ」や「スーパーUVカットパッケージ」など6種類が用意されていて、複数の選択も可能だ。
自転車が載るシートアレンジ
ポルテの最大の魅力は、広い室内と多彩なシートアレンジだ。助手席は、前後に700mmもスライドするし、後部座席はひもを引っ張るだけで座面を跳ね上げることができる。
助手席の背もたれを前方に倒してシートを一番前に寄せると、後部座席の前に広大なスペースが生まれる。この状態で右リアシートの座面を跳ね上げると、26インチの自転車を立てたままで乗せることができる。
自転車が積めるかどうかは、子育てファミリーの車選びにとって重要な要素だ。子どもが自転車で学習塾に行っているのに土砂降りの雨。車で迎えに行ったら、子どもと自転車を乗せて帰らなければならない。ママさん御用達の軽自動車は、こういったニーズにいち早く対応してきた。小型車にこういった車種が増えてくると、車選びがもっと楽しくなるだろう。
後部座席もゆったり
後部座席からインパネの写真を撮るときには、通常はいったん運転席から外に出て後部ドアからあらためて乗り込むが、ポルテは違った。運転席と助手席の間にある通路から後ろに移動することができた。室内高は1380mmもあるので、大柄な男性でもきゅうくつな思いをせずに移動できる。
後部座席もゆったりしている。ひざ前の余裕は、身長174cmのリポーターでこぶし3つ分、頭上の空間はこぶし4つ分あった。
荷室は深さがたっぷりあり、日常の使用では4人乗車でも不自由なさそうだ。後部座席の背もたれを前に倒したときに荷室全体がフラットになるともっといいのだが、座面の跳ね上げとの兼ね合いで致し方ないのだろう。
運転席回りのデザインは、直線と円弧を組み合わせていて、かなり個性的だ。ベージュとブラウン、オレンジを使い分け、リビングのような雰囲気を演出している。
試乗したGタイプ(1.5リットル)のCVTは、スムーズな発進と省燃費を両立させている。力強く走りだし、その後、エンジン回転を低めに押さえて燃料消費を抑えるという巧みな設定になっている。JC08モード燃費は19.0km/リットルで、オプションのアイドリングストップ機能を追加すると20.6km/リットルに向上する。
フロントのピラー(柱)が細めなので、運転席からの視界は良好。また、右と左のドアミラーの取り付け位置を変えることで、右斜め前方や左斜め後方を見やすくしている。
足回りは柔らかめで、市街地での乗り心地はソフト。一方で、カーブの外側に車が引っ張られるアンダーステアはやや強めだが、このジャンルの車では問題にならないと思う。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴37年。紀伊民報制作部長。