新車試乗記

しろうと試乗記・番外編 大阪モーターショー リポート

【スポーツカーと小型電気自動車に注目】

西日本最大規模の自動車ショー「第7回大阪モーターショー」が1月20日~23日、大阪市住之江区の展示場「インテックス大阪」で開かれ、30万人を超える来場者でにぎわった。人気を集めたのは、トヨタと富士重工が共同開発した後輪駆動(FR)のスポーツカーや、近未来の小型電気自動車など。注目の車をリポートする。

【試乗車提供】

[2012年2月9日 UP]

 モーターショーの取材は、東京・晴海の会場に行って以来27年ぶり。近年は若者の車離れが言われているので来場者はそう多くないと予想していたが、とんでもない。取材日が日曜ということもあって、展示車に近づくのが難しいほどの盛況ぶりだった。
開催テーマは「クルマが変わる、ひろがる世界、かがやく地球」。見ておきたかったのは2点。一つは話題の小型スポーツカー「トヨタ86(ハチロク)」「スバルBRZ」をはじめとしたスポーツカーの動向。もう一つは、近距離移動用の小型電気自動車。印象深かったのは、原付き免許で運転できる配達用4輪電動バイクなど、日常の移動手段として電動バイクがどんどん実用化されていることだ。

FRスポーツに熱い視線


 オレンジ色のトヨタ86は、床よりも一段高い回転台の上で、多くの来場者に囲まれていた。「立ち止まらないでください」というアナウンスにせかされながら、カメラのシャッターを切った。
 「86」の名称は、1983年に発売され、スポーツ指向のドライバーに人気だったFRの小型車「カローラ・レビン」「スプリンター・トレノ」(いずれも1.6リットル)の型式(86)にちなんでいる。現在、小型車の駆動方式は前輪駆動(FF)が主流になり、FRはトヨタのマークXやクラウン、日産のスカイラインなど、上級車種に限られている。FFは、室内を広くできることやドライブシャフトがないことによる車体の軽量化、横風に強いといった優れた面がある。一方で、運転していて楽しいのはFR。ドイツのBMWがFRにこだわっているのはそのためだ。
 「86」と「BRZ」のエンジンは、富士重工がこだわってきた水平対向4気筒エンジン。シリンダーを2気筒ずつ向かい合わせに配置するという独特の形式より、車体の重心を下げることができる。自然吸気ながら最高出力は200馬力、レッドゾーンは7500回転からという高回転・高出力型のエンジンだ。
 このほど正式発表があり、BRZは3月28日、86は4月6日の発売と決まった。価格は、レース用のベース車両を除くと、241万~305万円となっている。

近距離移動は電気の時代に


 小型電気自動車は将来、都市での近距離移動用だけでなく、田舎で高齢者が外出するときにも便利に使えそうだ。
 スズキのキュー・コンセプトは全長2・5メートル、全幅1・3メートルのコンパクトな車体で、乗車定員は2人。1回の充電で50km走ることができる。
 ダイハツのピコも同じく2人乗りで、全長は2・4メートルとキュー・コンセプトとほぼ同じだが、車幅は1メートルと一回り小さい。こちらも航続距離は50kmという。
 ホンダのマイクロ・コミューターは、全長2・5メートル、全幅1・25メートル。大人1人と子ども2人の3人乗りを想定している。タイヤが四隅に張り出した安定感のあるデザインが特徴だ。
 これらの電気自動車は普通免許が必要だが、もう一つ会場で目に留まったのが、原付き免許で運転できる四輪電動バイク。1回の充電で走れる距離は30km、最高速度23kmと性能は控えめだが、フロントのシールドや屋根まであって、多少の風雨はしのげそうだ。
 いずれはこういった電気自動車や電動バイクが街中の主役になる時代が来ることを感じさせたショーだった。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴36年。紀伊民報制作部長