新車試乗記

ホンダ フィットシャトル ハイブリッド

【スペック】

全長×全幅×全高=4410×1695×1540mm▽ホイールベース=2500mm▽車重=1200kg▽駆動方式=FF▽エンジン=1339cc水冷4気筒SOHC、最高出力65Kw(88馬力)/5800回転、最大トルク121Nm(12.3kg)/4500回転▽モーター=最高出力10Kw(14馬力)/1500回転、最大トルク78Nm(8.0kg)/1000回転▽燃料消費率=30.0km(10・15モード)、25.0km(JC08モード)▽トランスミッション=CVT(自動無段変速機)▽車両本体価格=196万6500円

【試乗車提供】

ホンダカーズ田辺・稲成店
(田辺市稲成町46、0739・24・4500)

[2011年7月14日 UP]

 ホンダの新型車「フィットシャトル」のハイブリッドに試乗した。フィットをベースに全長を510mm伸ばして荷室を大きくするなど、使い勝手を向上させたワゴンタイプの乗用車。名前にフィットを使っているものの、乗り心地や静粛性は1クラス上で、まったく別の車に仕上がっている。

燃費はリッター30km


 フィットはホンダのベストセラーカー。燃料タンクを床下に配置する独自のレイアウトによる広い室内や、優れた実用燃費が支持されている。フィットシャトルは、フィットの長所を引き継ぎながら、家族での旅行や長距離ドライブなどを想定した車に仕上げている。
 外観は、大きく延長されたリアの荷室部分が目を引くが、それとバランスを取るように、ボンネットも伸ばされた。真横から見ると、くさび形が一段と強調されたスタイルになった。
 車体の大きさは、フィットが全長3900mm、全幅1695mm、全高1525mmであるのに対して、シャトルはそれぞれ4410mm、1695mm、1540mm。全長は510mm長く、全幅は5ナンバーサイズのまま。全高は15mm高くなっているが、一般的な立体駐車場(高さ制限1550mm)が利用できる寸法に収まっている。
 ガソリン車は、最高出力120馬力の1.5リットルエンジンを搭載。燃費は10・15モードでガソリン1リットル当たり20.0km、新しい燃費基準であるJC08モードで18.6kmとなっている。
 ハイブリッド車は、フィットハイブリッドと同じ1.3リットルガソリンエンジンと、最高出力14馬力のモーターの組み合わせ。シャトルハイブリッドは、フィットハイブリッドよりも車重が60kg重いが、10・15モードは30.0kmと同数値、JC08モードでは25.0km(フィットは26.0km)と、ほぼ同等の燃費を実現している。

使いやすい大きな荷室


 フィットシャトルの特長は、何と言っても荷室が大きくなったことだ。ベースになったフィットも、全長4mを切る車体ながら大きい荷室を備えているが、シャトルの荷室は奥行きがさらに2回りほど深くなっている。荷室容量をガソリン車同士で比べると、フィットの422リットルに対して、シャトルは590リットルと40%も大きい。シャトルハイブリッドは、バッテリーを荷室の下に積んでいる関係で床下収納のスペースが小さくなるが、それでも517リットルの容量を確保している。
 リアシートは、ワンタッチで前方に倒すことが可能で、倒したときの荷室の奥行きは181cmもある。また、リアシートの座面を背もたれの方に跳ね上げれば、後部座席の位置に高さ129cmの荷室空間ができ、鉢植えなど背の高い荷物を積むことができる。
 フィットは、トヨタのハイブリッド車「プリウス」と国内販売で激しい首位争いを続けているが、これまではクラスが違うので直接のライバルではなかった。しかし、今度発売されたシャトルは、室内の広さや使い勝手の面で、プリウスと真っ正面から競合しそうだ。
 ホンダの発表によると、シャトルの発売から2週間の受注は、月間販売目標の3倍に当たる1万2000台。受注の86%が燃費に優れるハイブリッド車、14%がガソリン車という比率だ。一方で、プリウスシリーズにもワゴンタイプの「プリウスα」が追加された。5人乗りと7人乗りの2タイプがある。予約が殺到して生産が追いつかず、今すぐに注文しても納車は来年春以降になるほどの人気だ。両車の販売競争は今後も目が離せない。

乗り心地や静粛性も向上


 プリウスは停止状態ではエンジンが止まっていて、モーターのみで走りだすが、ホンダのハイブリッド車は、始動ノブをひねると同時にエンジンがかかるので、ガソリン車から乗り換えてもまったく違和感がない。モーターによる動力のアシストも自然なので、説明なしに乗り込んだらガソリン車と間違える人もいるだろう。
 新車の試乗は、エンジン音や路面から伝わるノイズを聞くため、オーディオとエアコンをオフにし、窓も閉め切って走ることにしている。シャトルを試乗した日は晴天で、車載の温度計が表示する外気温は30度を超えていた。しばらく走ったところで暑さに耐えきれずエアコンのスイッチを入れたが、エアコンがフル稼働しているときには、赤信号で停止してもアイドリングストップは働かなかった。
 シャトルについてホンダは「上級車のアコードクラスに匹敵する静粛性や乗り心地を達成した」と説明しているが、この表現は正しいと思う。ノーマルのフィットに比べて、車内に入り込んでくるエンジン音や走行音は明らかに少ないし、荒れた路面から伝わってくるざらつき感も抑えられている。乗り心地に影響するホイールベース(前輪と後輪の軸間距離)は2500mmでフィットと一緒だが、足回りのセッティングはずいぶんしなやかになっている。車体が一回り大きくなったので、カーブで外側に引っ張られるアンダーステアが強くなるという先入観を持っていたが、見事に裏切られた。ステアリングの切り角に応じて急カーブを素直に回っていく操縦性は、運転していて心地よかった。FF(前輪駆動)車はどうしてもフロントが重くなるが、荷室が延長された分、車重のバランスが良くなったのかもしれない。
 最小回転半径は、このクラスでは小さい4.9mなので、狭い場所での使い勝手もいい。安全対策として、FFモデルは全車、横滑り防止装置(VSC)を標準装備している。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴36年。紀伊民報制作部長