新車試乗記

日産自動車 セレナ&エルグランド

【スペック】

〔セレナ・ハイウェイスター〕
全長×全幅×全高=4770×1735×1865mm▽ホイールベース=2860mm▽車重=1630kg▽駆動方式=FF▽エンジン=1997cc水冷4気筒DOHC、108Kw(147PS)/5600回転、210Nm(21.4kg)/4400回転▽10・15モード燃費=15.4km/L▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=249万9000円

〔エルグランド・ライダー〕
全長×全幅×全高=4980×1850×1815mm▽ホイールベース=3000mm▽車重=1930kg▽駆動方式=FF▽エンジン=2488cc水冷4気筒DOHC、125Kw(170PS)/5600回転、245Nm(25.0km)/3900回転▽10・15モード燃費=11.6km/L▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=383万2500円

【試乗車提供】

日産プリンス和歌山販売田辺支店
(田辺市上の山1丁目8の16、0739・22・8132)

[2011年2月10日 UP]

 日産自動車のミニバン2車種に試乗した。ファミリー向けのセレナと、最高級ミニバンのエルグランド。いずれも、この半年の間にフルモデルチェンジした新型車だ。それぞれの個性をリポートする。セレナは「開放感」、エルグランドは「包まれ感」がキーワードだ。

ウオークスルーも楽々、セレナ


 セレナは、街中での取り回しが楽な5ナンバーサイズ(全長4700mm、全幅1700mm以下)の車体を基本に、広い室内空間を確保したミニバン。昨年11月のフルモデルチェンジでアイドリングストップ機能を採用し、2000ccクラスの3列シートミニバンではトップの15.4km/L(10・15モード)の低燃費を実現した。
 セレナの売り物は、使い勝手のいいシートアレンジ。用途に合わせて14種類ものパターンが選べる。ポイントになるのは、座席中央部のスマートマルチセンターシート。これを2列目シートに設定すれば2列目が3人掛けになるし、運転席と助手席の間に移動させると2列目の中央がウォークスルーの通路になり、3列目シートへの乗り降りが楽になる。ベビーカーをたたまずに積むというアレンジもできる。
 エンジンは2000ccで、最高出力147馬力(四輪駆動車は144馬力)。トランスミッションは全車CVT(自動無段変速機)。信号待ちなど一時停止中にエンジンを止めるアイドリングストップ機構には、エコモーター方式による再始動の仕組みを採用している。コンパクトカーや軽自動車のアイドリングストップ機構は、再始動にセルスターター(ギア式)を使うので「キュルキュル」という動作音があるが、エコモーター方式は、再始動用のモーターがベルトを介してエンジンのクランクを回すので、静かで素早い再始動が可能になっている。

開放感たっぷり


 試乗したセレナのグレードは、ハイウェイスター。専用のエアロパーツなどを装着しているので車体の外形寸法がやや大きく、3ナンバーになっている。セレナの運転席に座って最初に感動するのは見晴らしの良さ。観光バスの最前列に座っているような開放感だ。それもそのはずで、フロントガラスは5ナンバーサイズの車で最大級。サイドウインドーのウエストラインが低く、さらに、大きな三角窓があるので、運転者から死角になりやすい左側や左斜め前方の確認も楽だ。日常は買い物や通勤に使い、休日には家族で長距離ドライブをするといった利用でもストレスを感じないで済みそうだ。
 室内は広い。試乗車は、スマートマルチセンターシートを運転席と助手席の間に置く「2・3列ウオークスルーモード」のシートアレンジになっていた。天井が高いので頭を少し下げるだけで楽々と車内を移動できた。2列目シートはもちろん、3列目シートも大人が余裕を持って座れる空間がある。
 専用モーターを備えたアイドリングストップ機構は、再始動時の音が静かだ。ブレーキを離してから再始動までの時差も少なく、セルスターターを使うマーチの0.4秒に対して、セレナは0.3秒。マーチと同様、ステアリングを軽く動かすと再始動する機能もあるので、右折レーンで発進のタイミングを見計らっているときなどには、早めにエンジンをかけることができる。

くつろぎの高級ミニバン、エルグランド


 エルグランドは日産の最高級ミニバンだけあって、外観からして迫力がある。車幅が1850mmという大柄のボディーに絞り込まれたキャビン、横の広がりを強調したフロントグリルなどにより、「これから走るぞ」という精悍(せいかん)な印象を受ける。
 インテリアは豪華で、至れり尽くせりである。本革のシートは応接室のソファのように体をゆったりと包み込み、助手席とセカンドシートには、膝から下をサポートするオットマン(足置き)を備える。電動開閉式11インチワイドモニターでテレビやDVDを楽しむことができる後席プライベートシアターシステムもメーカーオプションで用意されている。
 エンジンは、最高出力280馬力のV型6気筒3.5リットルと、170馬力の直列4気筒2.5リットル。いずれも、低速から大きなトルクを発生するようにチューニングされている。

セカンドシートが特等席


 エルグランドの試乗車は、2.5リットルのライダー(7人乗り、黒本革シート仕様)。運転席のドアを開けて、ゆったりしたシートに座る。曲線を基調にしたインストルメントパネルは木目調の落ち着きのあるデザイン。メーター類はオーソドックスなアナログ式で、セレナの先進的なデジタルメーターとは対照的だ。また、セレナが窓の面積を大きくして開放感を演出しているのに対して、エルグランドは高めのウエストラインや囲い込むようなインストルメントパネルで、包まれ感を強調している。運転席の着座位置も大柄のミニバンとしては低めで、やや乗用車的な感覚だ。
 2.5リットルエンジンは力強く、2トン近い車体を軽々と加速させる。セレナが「家族のために運転する車」なら、エルグランドは「ドライバーも満足感が得られる車」かもしれない。
 しかし、エルグランドの特等席はやはり2列目の座席だ。シートは、左右の支えがしっかりしていて、体が横から包み込まれるような座り心地。オットマンに足を投げ出せば、リラックスした姿勢で長距離ドライブを楽しめる。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴35年。紀伊民報制作部長