新車試乗記

スズキ スイフトXL

【スペック】

全長×全幅×全高=3850×1695×1510mm▽ホイールベース=2430mm▽車重=970kg▽駆動方式=FF▽エンジン=1242cc水冷4気筒DOHC、67Kw(91馬力)/6000回転、118Nm(12.0kg)/4800回転▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=131万7750円(スノーパールホワイト塗装車は2万1000円高)

【試乗車提供】

スズキアリーナ田辺・田辺スズキ販売
(田辺市下万呂567、0739・22・4416)

[2010年10月14日 UP]

 きびきびした走りで定評があるスズキの小型乗用車「スイフト」がフルモデルチェンジを受け、9月18日に発売された。外観は先代そっくりだが、燃費の向上はもちろん、走りに安定感が増すなど、中身は大きく進化した。

車体もエンジンも一新


 2004年11月に発売されたスイフトは、しっかりした走りやコンパクトで使いやすいサイズが評価され、世界124カ国で180万台が販売された。
 人気車はフルモデルチェンジで先代のイメージを引き継ぐことが多いが、今回のスイフトほど外観が変わらない車も珍しい。オーナーでも見分けがつかないのではないかと思うほどだ。しかし、プラットホーム(車台)は新設計だし、エンジンやミッションも一新した。中身は大きく変わっている。
 車体は全長が95mm、幅が5mm大きくなったが、車体の骨格に高張力鋼板を積極的に利用するなどして軽量化を図り、車重は10kg軽くなっている。ホイールベース(前輪と後輪の軸間距離)が40mm伸びたことで直進安定性が向上し、室内も広くなった。
 エンジンは1.2リットル。燃焼効率を高める改良を施し、最高出力は1馬力アップの91馬力に向上。最大トルクは12.0kgで変わらないが、発生回転数がやや高くなった。
 車体の軽量化、エンジンの改良に加えて、副変速機付きの新型CVT(自動無段変速機)を採用することで燃費は大幅に向上した。先代の1リットル当たり20.5km(10・15モード)から23.0kmへと、2.5kmもアップした。CVTが採用される前のモデル(4速AT)は17.0kmだったから、その差は6kmにもなる。ここ数年の燃費改善は驚くばかりだ。

充実した装備


 スイフトの車種構成は、ベースモデルのXG、中間グレードのXL、上級グレードのXSの3タイプで、それぞれ2輪駆動(FF)と4輪駆動が設定されている。トランスミッションはCVTが基本だが、XGとXLの2輪駆動は、今では珍しくなった5速の手動ミッションも選べる。価格帯は124万円台(XGのFF)から165万円台(XSの4輪駆動)までとなっている。
 ボディーカラーは6色あるが、内装の色はスポーティーな黒で統一されている。試乗した中間グレードのXLにも革巻きステアリングを採用するなど、内装の仕上げはずいぶん丁寧だ。
 また、このクラスのコンパクトカーとしては、驚くほど装備が充実している。最上級のXSには、スリップや横滑りを抑える車両安定補助システムや、側面衝突に備える前席サイドエアバッグとカーテンエアバッグ、高速道路などを一定速度で走り続けることができるクルーズコントロールなどを標準装備している。高価な輸入コンパクトカーでは一般的な装備だが、国産コンパクトカーではオプション設定すらないような装備だ。
 室内が広くなったのも新型スイフトの進化した点。先代の後部座席は大人が乗るにはずいぶん狭かったが、新型は1~1.2リットルクラスの標準的な広さになった。

大人になった走り


 「ずいぶん大人になったな」というのが新型スイフトを運転しての第一印象だ。先代の走りは軽快感が際だっていたが、新型は、一回り大きな車に乗っているような落ち着きが加わった。ステアリングに適度な重さがあり、バイパス道路を60kmで走っているときの直進安定性も十分だった。たぶん、高速道路の長距離走行も楽だと思う。このクラスでは珍しい16インチの大径タイヤをはいていることも、走りの安定感につながっているようだ。室内に入り込んでくるエンジン音の遮音もしっかりしていて、特に低回転域では騒音が少なくなったように感じる。
 モデルチェンジをしても、走る楽しさは損なわれていない。車線変更やカーブへ進入するときに直進状態からステアリングを切り始めると車体が敏感に反応するので、思いのほかスポーティーな運転感覚が味わえる。直進での落ち着きとコーナリングの軽快感を両立させている。ステアリングの操作量に対してタイヤの切れ角が変わる可変ギアレシオステアリングを採用した効果のようだ。
 サスペンションは堅めだが、低速域での細かい振動は吸収してくれる。ここでも、大径タイヤの効果が実感できる。わたしは堅めの足回りが好きなので気持ちよく運転できたが、人によってはゴツゴツ感が気になるかもしれない。
 シートは、左右の支えがしっかりしたスポーティーな仕様で、上下58mmの高さ調節ができる。また、ステアリングも上下に40mm、前後に36mmの範囲で調節できるので、運転者の体格や好みに合わせた運転姿勢が得られる。運転席の足元は少し狭いのだがこれを逆手に取って、左ひざの外側をセンターコンソールに押しつけるようにして体を支えると、急カーブで運転姿勢を保つのが楽だ。
 CVTの設定は燃費を重視しているようで、発進加速でエンジン回転が低めに保たれる。活発に走りたいときは意識的にアクセルを強く踏むか、シフトノブのボタンを押してスポーツモードに切り替えればよい。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴35年。紀伊民報制作部長