新車試乗記

ホンダ ステップワゴンG Lパッケージ

【スペック】

全長×全幅×全高=4690×1695×1815mm▽ホイールベース=2855mm▽車重=1600kg▽駆動方式=FF▽エンジン=1997cc水冷4気筒SOHC、最高出力110Kw(150馬力)/6200回転、最大トルク193Nm(19.7kg)/4200回転▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=252万4750円(HDDナビ、ディスチャージヘッドライト装着車)

【試乗車提供】

ホンダカーズ田辺・稲成店
(田辺市稲成町46、0739・24・4500)

[2009年11月12日 UP]

 ホンダは、5ナンバーサイズのミニバン「ステップワゴン」をフルモデルチェンジして、10月9日に発売した。簡単な操作で3列目シートを床下に格納できるようにしたのが一番の特徴。また、エンジンやトランスミッションの効率を高めて、ガソリン1リットル当たり14.2km(10・15モード)の低燃費を実現した。

5ナンバーでも広い室内


 ステップワゴンは、5ナンバーサイズの車体で広い室内空間を実現した小型ミニバン。1996年の発売以来、ホンダの人気車種の一つとなっている。
 新型のCMキャラクターはウルトラマン。ウルトラセブン、ウルトラの父などファミリーが勢ぞろいする。角張ったボディーデザインを正面から見ていると、何となくウルトラマンとイメージが重なってくるから面白い。
 モデルチェンジのポイントを整理してみよう。ホンダが得意とするのが低床・低重心パッケージ。新型ステップワゴンの床は地面から390mmと低く、乗り降りしやすい。車体寸法は先代に比べて全長が50mm、全高が45mm大きくなり、室内高は1395mmと余裕たっぷり。室内はとても広々としている。
 後部座席のドアは左右ともスライドドア。試乗車はドアハンドルに軽く力を加えたり、運転席のリモコンスイッチを操作したりすれば自動開閉するパワースライドドアを装備していた。
 エンジンは、最高出力150馬力、最大トルク19.7kgを発生する2リットルSOHC4気筒エンジン。たっぷりとした低速トルクが特徴だ。トルクコンバーター付きCVT(自動無段変速機)との組み合わせにより、FF(前輪駆動)は2リットルクラスのミニバンではトップの14.2kmの燃費性能を実現した。4WD(四輪駆動)は5速AT(自動変速機)との組み合わせで12.6kmとなっている。

秀逸なシートアレンジ


 試乗車のバックドアを開けたときに思わず「広い」と声を出してしまった。ミニバンの3列目シートは、使わないときには荷室の左右に跳ね上げて固定しておくのが一般的。大きなスペースを取るので、荷物を積むのにじゃまだった。ところが、3列目シートをたたんだステップワゴンの荷室は完全に平らで、両サイドにも跳ね上げたシートが見当たらない。
 「シートを出しましょうか」とセールス氏。床にある小さいフックをはずしてひもを引っ張ると、床下に収納してあったシートがくるりと回転して出てきた。背もたれを起こせばセット完了。それこそ10秒もかからないほどだ。力もいらないし、初めての人でも簡単に操作できる。
 3列目シートを収納してあった床下は深さがたっぷりあるので、シートを出したときには有効な荷物スペースになる。定員乗車の旅行でも、かなり多くの荷物を積めそうだ。
 2列目シートは6対4の分割式で、こちらもたたむのは簡単。座席横のレバーを引き起こすと、背もたれが前方に倒れ、続いてシート全体がフロントシートにくっつくように跳ね上がる。2列目シートをたためば、自転車も楽々と乗せることができる。
 ホンダには、8人乗りの小型ミニバンとしてフリード(1.5リットル)があるが、ステップワゴンはフリードより車体の全長が475mm長いので室内スペースに余裕がある。フリードの3列目シートは大人がかろうじて座れる広さだったが、ステップワゴンは余裕たっぷり。2列と3列目に成人男性が座っても、ひざがつかえることはない。

エコモードで省エネ


 ステップワゴンは床が低いので、乗り降りが楽だ。シートは、運転席と助手席が独立していて、前席から後部座席への通り抜けが出来るウオークスルーになっている。シートの座面は柔らかな感触だ。
 運転席に座ってシート位置やルームミラーを合わせ、国道42号を白浜方面に向けてスタートした。ステアリングは軽めで、サスペンションもソフト。乗り心地はいい。走行音やエンジン音の遮音もしっかりしていて、走りだしてすぐに「静かだな」と感じる。低床・低重心設計といっても、車高が高くて乗り心地がソフトなので、カーブでのロール(横傾き)はそれなりに発生する。
 円形のスピードメーターの中央には、緑色の若葉をあしらったECON表示灯がある。インパネ右側のECONスイッチをオンにすると点灯。賢いコンピューターがエンジンやトランスミッション、エアコンなどを省燃費走行のモードで制御する。ECONモードでは、意識的にアクセルを強く踏まない限りエンジン回転は2000回転以下に抑えられ、ゆったり加速していく。低速トルクが大きいエンジンとの相性がいい。ECONスイッチをオフにすると、加速時のエンジン回転は高めになり、活発な走りが可能になる。しかし、ステップワゴンにはECONモードでの走りが似合っていると思う。
 角張ったデザインの車体はサイズ以上に大きく見えるが、実際に運転してみるとフィットやヴィッツといったコンパクトカーと車幅が同じなので、狭い道でのすれ違いも楽だ。感心したのは、助手席側フロントピラーの付け根に取り付けてあるサイドビューサポートミラー。何と、普通なら死角になる左フロントタイヤの前方を映し出してくれるのだ。
 仕組みはとても単純。左側ドアミラーの前側(運転者から見た裏側)に鏡があり、そこに映った前方の様子を室内鏡に反射させて見せるというアイデア。車載カメラや液晶ディスプレーといった高価なメカニズムを使っていないのがいい。ミニバンだけと言わず、乗用車や軽自動車にもぜひ採用してほしい。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴34年。紀伊民報制作部長