燃費のいいCVTが人気
ダイハツの軽自動車は、主力車種であるムーヴをはじめ、圧倒的に広い室内で人気のタント、経済性に優れるミラなどのシリーズがある。今回発売のココアは、ミラシリーズの新型車。8月17日の発売から1カ月で、月間販売目標の3倍に当たる9,000台を受注した。
ミラシリーズには、クラシカルな外観で個性を主張するミラジーノがあるが、ココアは女性層をターゲットに、「外出が楽しくなるデザイン」と「気軽に運転できる扱いやすさ」を開発のテーマにしたという。丸みを帯びたなで肩のようなデザインは親しみやすさを、丸型のヘッドライトは愛らしさを表現している。
インテリアは、シンプルでカジュアルなイメージ。水平を基調にしながら、メーター周りやドアトリムに丸みをつけることで温かさを表現している。
エンジンは、低中速で力強く、燃費性能に優れるDOHC3気筒エンジン。最高出力は58馬力。ターボエンジンの設定はない。組み合わせるミッションは4速AT(自動変速機)とCVT。前輪駆動車(2WD)で燃費を比べると、4ATの19.4km(10・15モード)に対して、CVTは23.5km(同)と、CVTが2割も優れている。このため、受注の85%はエコカー減税(75%減税)と新車購入補助が受けられるCVT仕様車という。
ミラーに後方モニターの映像
女性向けの車ということなので、試乗車を会社の駐車場に持ち込み、女性社員に見てもらった。
水色(ミストブルーマイカ)の車体と丸いヘッドライトを見て、「かわいらしい」と30代のママさんデザイナー。試乗車の内装は黒とアイボリーが基調。「ラパン(スズキ)の内装は遊び心満載のかわいらしさだったけど、ココアはシンプルで実用的なかわいらしいさですね」とデザイナーらしい感想を話した。
外観に続いて、室内のカップホルダーや小物入れを入念にチェック。カップホルダーは前席だけで4つあった。彼女が食いついたのは、荷室スペースの中が見えないようにするファブリック生地のトノカバー(覆い)。トノカバーは黒が一般的だが、ココアのトノカバーはシートと同じ素材を使っているのでおしゃれだ。
さて、ココアの目玉装備はというと、国内初採用のバックモニター内蔵ルームミラーだ。ギアを後退に入れるとルームミラーの左端に、後方のモニター映像が映し出される。バックモニターは、ホンダの軽自動車「ライフ」がインパネに表示するタイプを標準装備している。後方を確認する機能は便利な装備なので、これからも採用車種が増えそうだ。
ココアは、バックモニターに加えて、ギアを後退に入れると左側のドアミラーの角度が変化して左後輪付近を見やすくするリバース連動ドアミラーもオプションで装着できる。
活発なエンジン
ココアの試乗インプレッションをお届けしよう。室内は、タントやムーヴほど広大ではないものの、大人4人が乗るのに十分な広さを確保している。シートは上質な仕上げで、座り心地はソフトだ。パワーステアリングは、女性が操作しやすいように軽めの設定。足回りもソフトな味付けになっている。
最高出力58馬力のエンジンとCVTの組み合わせは、活発な走りを提供してくれる。このCVTは、スタート時や追い越し加速では積極的にエンジン回転を上げる設定になっている。時速50kmで走っているときのエンジン回転数は2000回転弱だが、ここから追い越しをかけるためにアクセルを踏むと、タコメーターの針は4000回転付近まで跳ね上がり、元気に加速する。4000回転は、最大トルクの発生回転数と一致し、エンジンが最も力を発揮する領域。発進加速でもこの回転数を上手に使うので、市街地ではターボエンジンの必要性を感じないほど軽快に走ってくれる。
スピードメーター内には、省エネ運転を促す瞬間燃費計とエコインジケーターが設けられている。燃費計のバーグラフはアクセルの踏み加減に敏感に反応するので、自然と燃料消費を意識した運転になる。
バックモニター内蔵ルームミラーの実用性はどうだろうか。カメラはバックドア中央に取り付けてあり、後方の映像は、ルームミラー左側に表示される。表示面積は小さいが映像は明るくて鮮明で、後方を確認しやすい。ナビ連動タイプのようなガイドラインは表示しないが、実用上十分な性能だと思う。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴34年。紀伊民報制作部長