視界良好、バックモニターを標準装備
多くの人気車が先代のイメージを引き継いでフルモデルチェンジしている例に漏れず、ライフも一目で「ライフ」と分かる愛らしいデザインを継承している。
バリエーションは、実用的な装備と手ごろな価格設定が売り物のGタイプ、おしゃれな内装と充実装備のPASTEL(パステル)、スポーティーなDIVA(ディーバ)の3タイプ。Gタイプは3気筒SOHC自然吸気エンジン(52馬力)のみ。パステルとディーバにはターボ仕様(64馬力)も設定されている。変速機は全車、4速ATだ。
新型ライフは「誰もが気軽に運転できる車」を目指したという。特に、視界を良くすることに徹底的にこだわっている。最近、衝突や横転したときの安全性を高めるためにピラーを太くしている車が多く、右前方や左後方が見にくい車種もある。
ライフは(1)フロントピラーを細くしたり、大型の三角窓を採用したりして、前方の視界を広くした(2)助手席側のガードレールが見えるほどサイドガラスのラインを低くした(3)大きなテールゲートウインドウの採用や、後部座席のヘッドレストを埋め込み式にすることで、後方の死角を少なくした-といった工夫をしている。
後方の様子を液晶画面に映し出すバックモニターは、普通車でもナビゲーションシステムとセットでなければ装着できなかった装備だ。ベーシックグレードのCタイプ以外に標準で付くというのは大サービス。ギアをバックに入れると、普段はカーオーディオの情報などを表示している4.3インチのカラーモニターに、駐車の目安になるガイド線とともに後方の映像が表示される。
さらに、バックでの駐車や縦列駐車がどうしても苦手という人のためには、ハンドル操作を自動化したスマートパーキングアシストシステムをオプションで設定している。
室内は、先代のモデルに比べてずいぶん広くなった。サスペンションを新設計してリアシートを後方に配置し、前席と後席の距離を85mmも長くしている。
街中をきびきび走る
試乗したGタイプは、グレードとしては下から2番目だが、なかなかどうして、装備は充実している。AM/FMチューナー付きCDプレーヤー、バックモニター、マニュアルエアコン、電動格納式リモコンドアミラー、全席パワーウインドウ、手動レベリング機構付きハロゲンヘッドライト、アンチロックブレーキシステムなどを備えている。これで車両本体価格が103万円余りだから、かなりお買い得感がある。たぶん、ライフの量販グレードになるのだろう。
試乗車の車体色は、スマッシュイエローという濃い黄色。中年のおじさんが乗るには派手な車体色だが、そこは仕事と割り切って、販売店の駐車場から国道42号に出た。4速オートマチックはスムーズにギアチェンジしていく。そのまま白浜方面に向かい、稲成ランプから田辺バイパスに入った。ランプのやや急な上り坂もごく自然に駆け上がっていく。
ステアリングは、低速域ではかなり軽い設定で、腕力のない女性でも楽に操作できる。一方で、バイパス道路などある程度スピードが乗る場面では適度な手応えがあり、直進性にも不安はない。堅くもなく、柔らかくもない設定のサスペンションと合わせて、街中をきびきびと走ることができる。
先代から乗り替えたオーナーによると、車内の騒音はずいぶん静かになったという。ただ、最新の軽自動車は防音の水準が上がっているので、荒れた路面を走った時のロードノイズはライバル車と同等に感じた。
狭い道路や切り返し、バックでは、視界の良さがありがたい。さらに、バックモニターで後方の障害物がはっきり確認できるので、車庫入れやバックが苦手な人にはお薦めだ。
厚みたっぷりのリアシート
この車で気に入ったのはシート。前席は左右分割式のベンチシートだが、運転席の左側が助手席側に張り出すように大きめに作ってあるので、「ゆったりしたシート」と感じる。しかも縁にしっかりした腰があるので、体を包むように支えてくれる。
後部座席のシートも秀逸だ。たっぷりした厚みがあり、快適な座り心地。広報資料によると、旧モデルに比べてシートの厚みを25mm増やし、2000ccクラスのセダンと同等にしているという。試乗のさいには、ぜひ後部座席にも座ってみてほしい。後部座席はひざの前にも余裕があり、フロアもフラット。大人2人がゆったりと座れる。
収納ポケットは豊富だ。「よく使うものはすぐ手が届く位置に」がコンセプト。インパネ中央のコンビニフックをはじめ、運転席から手が届く範囲に九つもの収納ポケットやトレイなどがある。
スピードメーターは、文字が大きい丸形メーターで、Gタイプにはタコメーター(エンジン回転計)はない。メーターの右側には、省燃費運転をしているときに緑色に光るエコランプがある。燃費は、10・15モードで1リットル当たり21.0kmと優秀だ。
リアシートにスライド機能はないが、灯油のポリタンクを縦に積めるなど、日常の利用に十分なスペースを確保している。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴33年。これまで、12台の愛車を乗り継いできた。紀伊民報制作部長。