新車試乗記

三菱自動車 トッポM

【スペック】

全長×全幅×全高=3395×1475×1680mm▽ホイールベース=2340mm▽車重=840kg▽駆動方式=FF▽エンジン=660cc水冷3気筒SOHC、37Kw(50PS)/6500回転、62Nm(6.3kg)/4000回転▽トランスミッション=4AT▽車両本体価格=105万円

【試乗車提供】

和歌山三菱自動車販売田辺店
(田辺市新庄町1934、0739・22・5019)

[2008年10月09日 UP]

 三菱自動車は9月17日、クラス最大の室内高が自慢の軽乗用車、新型「トッポ」を発売した。高い天井が生み出す広々とした視界と、低重心設計による安定した走りが特徴だ。

小学生が立てるほど


 初代のトッポは、1990年に登場した「ミニカトッポ」。ダックスフントを連想させる愛らしいスタイルで人気になった。現在、軽乗用車の主流になっている「トールボーイ」(背高のっぽ)と呼ばれるタイプの先駆けだ。
 新型トッポの室内高(床から天井まで高さ)は1430mm。平均的な身長の小学5年生が立っていられるほどの高さがある。
 これを、室内が広い軽乗用車として定評があるダイハツのタントやスズキのパレットと比べてみよう。トッポの室内長は1900mmで、タント(2160mm)やパレット(2025mm)に及ばないが、室内高(タント1355mm、パレット1365mm)はトッポが一番だ。
 一方で車両の高さは、タントとパレットが1700mmを超えているのに対して、トッポは1680mmと低い。着座位置が低くて天井が高いというスタイルが、初代から引き継がれているトッポの特徴だ。三菱自動車によると、乗員のヒップポイントを低めに設定することで車両の重心を低く抑え、コーナーでもロール(車体の横傾き)が少ない走りを実現しているという。
 エンジンは、最高出力50馬力の自然吸気エンジンと、64馬力のターボエンジン。ベーシックグレードが3速自動変速機、上位グレードは4速自動変速機と組み合わせている。
 車種構成では、標準仕様のトッポに加えて、内外装をドレスアップした「ローデスト」が設定されている。ローデストは、専用メッキフロントグリルや専用フロントエアダム、専用サイドエアダム、ルーフスポイラーを装着したスタイリッシュなモデル。

ソフトな乗り心地


 試乗車は、ナンバーを取ったばかり。真っさらの新車に乗ることができるのはリポーターの特権である。
 シフトレバーはインパネから伸びているタイプで、ステアリングの付け根にレバーがあるコラムシフトに比べて操作しやすい。白地の大きなスピードメーターはインパネの上部中央に配置されている。一般の車のメーターがある場所には、ペットボトルが2本も入る開閉式の収納ボックスが設けられている。
 走りだしてまず気が付くのは、乗り心地がソフトなこと。足回りは柔らかめで、路面の凹凸を良く吸収してくれる。路面がざらついた場所を走っていても、不快な振動や騒音が少なく、意外なほど静か。扁平(へんぺい)率があまりきつくないタイヤ(155/65R13)をはいていることも影響しているようだ。ステアリングの操作感も滑らかだった。路面からの音(ロードノイズ)が静かな分、室内に入ってくるエンジンの音は元気に感じた。
 運転席に座った時の目の位置は、タントやパレットに比べると低い。窓ガラスの面積が大きく天井が高いので室内は明るく開放的だ。身長174cmのリポーターが運転席のシートポジションを調節してから後部座席に乗り込んでも、天井が高いので広々と感じる。ただ、ひざの前の余裕はあまり大きくなかった。

賢い安心装備


 新型トッポには、賢い機能がいろいろと盛り込まれているが、その一つがマルチモードキーレスエントリーキー。リモコンでドアの鍵を開ける時に、運転席だけを解錠できる機能だ。夜間に人けのない駐車場で車に乗り込む場合などに、ほかのドアから不審者が乗り込んでくる心配がないので安心だ。
 また、日焼けの原因になる紫外線だけでなく、じりじりと車内を熱くする赤外線をカットするUV&ヒートプロテクトガラスや、たばこの臭いなどを吸着・分解する消臭天井といった快適装備を採用している。
 背面のドアは、跳ね上げ式ではなくて横開き。小柄な女性でも開け閉めが楽にできる。大きな荷物を積むには、リアシートを前方に倒して荷室を広げるが、この時にトッポはヘッドレストを装着したまま、ワンタッチでシートを倒せる。ちょっとした配慮だが、大きい荷物を積む機会が多い人にはとても便利だ。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴33年。これまで、12台の愛車を乗り継いできた。紀伊民報制作部長。