新型車ラッシュ
ダイハツでは、広い室内が売り物のタントが大人気。7月の国内販売実績ではスズキのワゴンRに続いて軽自動車で2位になった。3位はムーヴ、4位はミラと、ダイハツ勢が続く。コンテの発売で、車種構成がさらに強化された。
これから年末にかけて、軽自動車は新車ラッシュが続く。三菱自動車、ホンダが新型車の発売を予定しているほか、軽自動車の王者、ワゴンRが年内にフルモデルチェンジされる。ガソリン価格の高騰で燃費のいい軽自動車や小型車に人気が集まっており、販売競争は過熱しそうだ。
コンテは、先輩格のムーヴやタントが丸みを帯びているのに対して、すっきりしたスクエアスタイルを採用している。背(車高)は高からず、低からず。個性がなさそうに見えながら、何となく存在感がある不思議なスタイルだ。
ダイハツの軽自動車は、室内の広さが売り物。2006年10月に発売されたムーヴの室内長は2100mm、1年後に登場した2代目のタントはムーヴよりもさらに60mm長い2160mmを実現している。いずれも、後部座席で大人が足を組めるほど室内が広い。コンテの室内長は2000mmで、タントより160mm短いが、それでも大人4人がゆったり乗れる室内スペースを確保している。
電動シートを採用
販売店で電子カードキーを受け取り駐車場へ。試乗車に近づくと「ピピッ」と音がして自動的にドアロックが解除された。
運転席に座ったら、いつも通りの儀式。シートの前後を合わせて背もたれの角度を調節し、ルームミラーを合わせるのだが…。シートの下を探ってみても、シートを前後させるためのレバーが見つからない。そうなんです。コンテは軽乗用車で初めて、電動のパワーエントリーシートを採用しているのだ。シートの右下前方にスイッチがあった。手前に引くと前方に、押すと後方にシートがスムーズに動く。
試乗した後で知ったのだが、インパネの右側にバックスイッチというものがあって、降車する時に押すとシートが80mm後ろに下がり、足元が広くなって乗り降りがしやすくなる。乗車の時にはマイポジションスイッチを押せば、あらかじめ記憶させておいた位置まで自動的にシートがスライドするという優れものだ。
このシートは、軽自動車としてはたっぷりした幅があり、クッションの厚みも十分。座り心地はソフトで、ゆったりとした気分で運転することができる。
運転席に乗り込んでまず感じるのは、車体の見切りの良さ。四角いデザインをしているので、ボンネットの左右の角がしっかり見える。最近は、ボンネットがまったく見えない車がほとんどなので、とても新鮮だ。免許を取ったばかりの初心者ドライバーや、狭い道を走るのが苦手な人は特に運転しやすいだろう。
走りは、意外なほど活発だ。試乗車は、ターボチャージャー(過給器)が付いていない58馬力の自然吸気エンジンを積んでいるが、低速で力強いエンジンと新開発のCVT(無段自動変速機)との相性がよく、街中できびきびと走ることができた。室内の広さが売り物のタントに比べて車重が100kgほど軽いのも、良好な動力性能につながっている。
乗り心地はソフト。シートがゆったりしていることも加わって、リラックスして運転できる。その代わり、急カーブや曲がり角でのロール(車体の横傾き)は大きめだ。
コンテの変速機はグレードにより4速ATとCVTの2種類が設定されているが、個人的にはCVT搭載モデルがお薦めだ。燃費に優れる(4速AT=21km、CVT=23km)というだけでなく、上り坂で強くアクセルを踏んだときに唐突なシフトダウンをしないなど、スムーズな走りが得られる。
10月にはカスタム登場
試乗車の内装は、ウォームグレーというしっとりした色合いがベースで、そこに赤いアクセントを入れている。シートはさりげない高級感を演出。カーオーディオやエアコンの操作部は水平基調のすっきりしたデザインを採用している。
タントの室内があまりにも広いのでつい比較してしまうが、コンテも大人4人が乗るのに十分なスペースを備えている。身長174cmのリポーターがドライビングポジションを合わせてから運転席の後ろに乗り込んでも、ひざの前に20cmほどの余裕がある。
コンテには、ムーヴやタントと同様にカスタム仕様が設定されている。縦型2灯のヘッドライトやエアロパーツに身を包み、内装色も黒という男性的なデザイン。普通車並みの加速が得られるターボ仕様(64馬力)もラインアップしている。カスタムが田辺地域の店頭にお目見えするのは10月上旬の予定という。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴33年。これまで、12台の愛車を乗り継いできた。紀伊民報制作部長。