燃費も向上
「ミニバンの頂点」をテーマに開発されたというアルファードとヴェルファイアは、全長4850mm、全幅1830mm、全高1890mmという堂々としたサイズ。外観は、アルファードが上品で洗練されたデザイン、ヴェルファイアは力強く先進的なイメージで個性を主張している。
アルファードは、フロントピラーからバンパーにかけてのV字型ラインと、切れ長のヘッドランプが特徴。ヴェルファイアは、2段積みのヘッドランプと横基調のフロントグリルを採用している。
フルモデルチェンジで車台(プラットホーム)を一新した。床の高さを55mm低くして乗り降りをしやすくするとともに、室内長もモデルチェンジ前に比べて75mm拡大した。重心が低くなったことに加えて、トレッド(車輪間隔)の拡大やホイールベース(車軸間距離)の延長により、操縦安定性や乗り心地の向上を図ったという。
エンジンは、V型6気筒3.5L(リットル)と直列4気筒2.4Lの2種類。V6エンジンは排気量をモデルチェンジ前より0.5L拡大し、出力も220馬力から280馬力へアップした。それにもかかわらず10・15モード燃費は、ガソリン1リットル当たり8.9kmから9.5kmへと、約7%向上している。2.4Lは排気量をそのままに出力を159馬力から170馬力にアップした。CVT(自動無段変速機)との組み合わせで、燃費は従来の9.7kmから11.6kmへと約20%も改善している。
快適な乗り心地
試乗したのは、新車名で登場したヴェルファイア2.4V。2.4L(170馬力)のエンジンとCVTを組み合わせたモデルだ。
プッシュ式のスタートボタンを押してエンジンをかける。トヨタのスタートボタンは当初ステアリングの左側に配置されていたが、ヴェルファイアでは右側に移り、初めての人でも自然に操作できるようになった。
走りだしてすぐに国道42号田辺バイパスに入り、強めにアクセルを踏んだ。2トンに近い車体に170馬力のエンジンでは力不足かと思っていたが、CVTはエンジンを4000~5000回転に保ち、重い車体をぐいぐい引っ張っていく。V型6気筒3.5Lエンジンなら、さらに上質で力強い加速をするのだろう。
運転席の着座位置が乗用車よりもずいぶん高いので、見晴らしがいい。そのおかげで、バイパス道路を時速60kmで走っていてもスピード感がまったくない。まるで40kmぐらいでとろとろと流しているような感じだ。これならば、家族を乗せての長距離ドライブや高速道路の長時間走行も楽にこなせそうだ。
足回りは滑らかに動き、乗り心地はゆったりしている。路面のざらつきや継ぎ目のショックなどをよく吸収し、車内に入り込んでくる騒音も小さいので、まるで舗装したての道路を走り続けているような感覚になってくる。
これだけ乗り心地がいいと、自分で運転するよりも、2列目のシートにゆったりと座っていたい気分になる。
くつろぎの室内
新型のアルファードとヴェルファイアは、車体の全高が従来モデルより45mm低くなる一方で、床が55mm下がったので、差し引きで室内高が10mm高くなった。身長が高い人でも、2列目シートから3列目シートに移動するといった動きが楽だ。
室内は広くて、内装や装備は豪華だ。このクラスになると、2列目のシートだけでなく、3列目のシートでも、足元に大きなゆとりがある。
助手席と2列目シートには、ふくらはぎを下から支えるオットマン(足載せ台)が装備されていて、リラックスした姿勢で座ることができる。しかも、助手席のオットマンは電動で微調整ができるという豪華仕様である。
シートアレンジは多彩だ。7人乗りと8人乗りがあるが、7人乗りタイプの2列目シートは通常位置から最大で800mmも前後にスライドが可能。一番後ろに下げると、フロントシートとの間に広大な空間ができる。また、シートを平らにして寝ころぶ空間を作ったり、3列目シートを跳ね上げて大きな荷室スペースを作ることもできる。
室内照明はLEDの間接照明で、柔らかい光のラインが3列目シートまで続く。オプションのトヨタプレミアムサウンドシステムは、18個のスピーカーを理想的に配置し、広がりのある音響空間を演出するという。
安全装備では、ドライバーの下肢を保護するニーエアバッグや3列目シート乗員の頭部側面を保護するカーテンシールドエアバッグなど、合計7個のエアバッグを全車に標準装備している。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴33年。これまで、12台の愛車を乗り継いできた。紀伊民報制作部長。