顔つきを一新
3月の国内新車販売(軽自動車を除く)を見ると、ベスト10のうち7車種を小型ハッチバックが占めている。トップはホンダのフィットで、3位がトヨタのヴィッツ。ノートは7位にランクされている。
ノートは2005年1月の登場。今回のマイナーチェンジで、ヘッドランプ、エンジンフード、フロントグリル、フロントバンパーが一新され、従来車に比べて立体的な顔つきになった。
内装では、大きくなった速度計とエンジン回転計が見やすい。2つのメーターの間にある液晶表示の距離計には、燃費表示機能が備わった。実用的な装備では、リアセンターアームレスト(カップホルダー2個付き)や、汚れやぬれに強いはっ水加工シートが設定されている。
話題のCMに登場しているのは、「ザ・ワールド・オブ・ゴールデン・エッグス」のキャラクター。現在放映しているのは「ロバート先生と教頭」編。先生、教頭と子どもたちとの軽妙なやり取りが見どころだ。
スポーティーな設定
ノートのエンジンは1.5Lのみ。日産の1.5L5ドアハッチバックにはノート、ティーダ、マーチ、キューブの4車種がある。ノートの兄貴分に当たるティーダは、同じ5ナンバーサイズながら厚みのあるシートや静かな室内など、上質感が売りもの。2004年9月の発売以来、全世界で100万台の販売を達成した。
これに対してノートは、実用性に重点を置いたシンプルな造りが特徴で、その潔よさが気持ちいい。
試乗車はマイナーチェンジで追加されたスポーティーグレードの15RS。内装は黒で統一されている。運転席に座ると、真っ白で大きい速度計と回転計が目に飛び込んでくる。
このクラスでも、キーを携行しているだけでドアの解錠や施錠、エンジンの始動が行えるインテリジェントキーが当たり前になってきた。最初はとまどったが、慣れてしまうとポケットからキーを取り出す必要がないのでとても便利である。
イグニッションスイッチをひねってエンジンを始動。CVT(無段変速機)をドライブモードに入れて国道42号を走った。
109馬力を発生する1.5LエンジンとCVTの組み合わせは、燃費性能を犠牲にすることなく、スムーズで活発な走りをもたらしてくれる。エンジンは低速から力があり、中速域でのシャープな吹き上がりが持ち味だ。CVTは、発進加速や追い越し加速の時に強めにアクセルを踏むと、瞬時にエンジン回転が3500~4000に上昇するスポーティーなセッティングになっている。ついアクセルを余分に踏んでしまいそうになるほど気持ちよく走れる。
メーターの下にある燃費計は、省燃費運転をガイドする。「たかが燃費計、されど燃費計」。1リットル当たりの走行距離を気にしながらゆったりと走れば、燃費が向上すること間違いなしだ。市街地ばかりを走ったが、試乗車の燃費計は14.8kmを表示していた。実用燃費に近いとされる新しい燃費表示である「JC08モード」のカタログ燃費は17.6km。長距離ドライブでは、これを上回る数字が期待できそうだ。
ステアリングの手応えがしっかりしているのもノートの美点。片側2車線のバイパス道路では直進安定性に優れ、リラックスして走ることができた。
深さ十分の荷室
ノートの特徴の一つは、上下2段に分かれた荷室スペース。リッド(仕切り板)で仕切った下部のスペースは深さが250mmと十分にあるので、外から見られたくないものを収納しておくのにも便利だ。また、リッドを立てたり取り外したりすることで、大きめの植木鉢を倒れないように積んだり、背の高い荷物を収納したりすることができる。
試乗した15RSはリアセンターアームレストや、明るいバイキセノンヘッドランプを装備している。
【JC08モード】自動車の新しい燃費測定方法。一定の走行条件で審査し、ガソリン1リットルで何キロ走れるかを表示する。現在使われている10・15モードに比べて実際の走行条件に近く、カタログに表記される数字は10・15モードより1割ほど低くなる。ノートの場合、10・15モードで19.4kmだが、JC08モードでは17.6km。10・15モードは2011年3月までJC08モードと併記されるが、11年4月からはJC08モードだけが表示される。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴33年。これまで、12台の愛車を乗り継いできた。紀伊民報制作部長。