新車試乗記

個性と安心感を強化

スズキ クロスビー

【スペック】

全長×全幅×全高=3760×1670×1705mm▽ホイールベース=2435mm▽車重=990kg▽駆動方式=前2輪駆動▽エンジン=水冷4サイクル直列3気筒、59kW(80馬力)/5700回転、108Nm(11kgf・m)/4500回転▽燃料消費率=22.8km/L(WLTCモード)▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=233万5300円(HYBRID MZ)

【試乗車提供】

スズキアリーナ田辺・田辺スズキ販売
(田辺市下万呂567、0739・22・4416)

[2026年3月12日 UP]




 スズキのコンパクトクロスオーバーワゴン「クロスビー」がマイナーチェンジを経て生まれ変わった。親しみやすいコンパクトSUVのスタイルを継承しながら、質感や装備を見直し、商品力を高めた一台だ。2グレード展開で、上級仕様の「HYBRID MZ」グレードに試乗。「デザイン」「走行性能」「安全装備」の三つの視点から魅力を確かめた。

遊び心あふれるデザイン


 クロスビー最大の特徴は、ひと目で印象に残る個性的な外観だ。角を立てたボディーを基調としながら、全体を丸みのある造形で包み込み、力強さと愛嬌(あいきょう)を両立している。
 丸形ヘッドライトの内部には、U字のポジションランプを配置。どこか見覚えのある形と思えば、田辺市新庄町の県立情報交流センター「ビックユー」を連想させる柔らかな曲線だ。
 グリルは直線基調で、メタリック加飾がアクセント。見ているうちにファスナーの歯のようにも映り、思わず「かわいい」と感じる意匠だ。ホイールにも車名にちなむ「X」モチーフを採用し、細部まで遊び心が行き届く。
 インパネ周りは機能性を重視したレイアウト。ナビ画面や各種スイッチが視線移動の少ない位置にまとまり、操作に迷いにくい。運転席周辺の収納も豊富で、室内空間を効率よく活用できる。助手席座面下の収納スペースは、一眼レフカメラが収まる実用的な大きさだった。

街中で光る軽快感


 運転席に座ると、まず視界の良さに気付く。フロントガラスが大きく、ダッシュボードも短く設計されているため、前方を広く見渡せた。交差点での安全確認もしやすい。視点がやや高めなことも安心感につながる。
 ステアリングは軽く、さらりとした質感。操作感は自然で、街中や狭い道でも気を使わず進めた。最小回転半径は4.7メートルと、軽自動車に近い小回り性能を備える。
 今回の改良でターボエンジンは廃止となった。確かに強烈な加速感はないが、実際の走行で力不足を感じる場面は少なかった。「これで十分」と感じる穏やかな加速特性は、むしろ日常使用に適した印象だ。燃費も18.2kmから22.8kmに向上したという。
 乗り味はバランス型。路面の凹凸を穏やかにいなしつつ、柔らか過ぎない。軽自動車より安定感があり、かといって硬さが強いわけでもない。シートは適度な張りがあり、長時間でも腰が疲れにくいと感じた。
 高速道路で加速した際には相応のエンジン音が入るが、不快な響きではない。通常走行では静粛性も十分で、会話や音楽を妨げなかった。

日常を支える安全装備


 安全面では「デュアルセンサーブレーキサポートII」が改良ポイントの一つ。単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせ、前方の車両や歩行者を遠方から検知する。危険が迫れば自動でブレーキ制御を行い、事故回避や被害軽減を支援する。
 加えて、後方車両の接近を知らせるブラインドスポットモニターの搭載など、日常の運転を補助する装備も充実。ドライバーの不注意やヒューマンエラーを前提とした支援技術がそろう点は心強い。
 実際の走行では警告表示が分かりやすく、安心感につながった。過度な介入感はなく、自然な補助にとどまる印象だ。運転のしやすさと安全性の両立が、この車の大きな魅力といえる。

個性派コンパクトの魅力

 試乗した改良後のクロスビーは、個性的な外観、軽快な走行性能、充実した安全装備の三点がバランス良くまとまっていた。
 街中や住宅街での扱いやすさは特に際立つ。見た目の楽しさに加え、日々の移動でストレスを感じにくい仕上がりだ。「おしゃれで運転しやすい車が欲しい」「日常で気軽に使える車がいい」そんなニーズに応える一台といえるだろう。

最後に…

キーライフの新車試乗記の連載は今回で終わります。
これまで紙面を通じてさまざまな車を紹介してきました。
読者の皆さんに車の魅力や運転の楽しさが少しでも伝わっていればうれしいです。
これまで読んでいただき、ありがとうございました。

リポータープロフィル

【伊藤大翔】 紀伊民報記者