新車試乗記

デザインと安心の両立

日産 ルークス

【スペック】

全長×全幅×全高=3395×1475×1805mm▽ホイールベース=2495mm▽車重=1040kg▽駆動方式=4輪駆動▽エンジン=DOHC水冷直列3気筒、47kW(64馬力)/5600回転、100Nm(10・2kgf・m)/2400~4000回転▽燃料消費率=17・4km/L(WLTCモード)▽トランスミッション=エクストロニックCVT▽車両本体価格=224万9500円(ハイウェイスターGターボプロパイロットエディション)

【試乗車提供】

日産プリンス和歌山田辺店
(田辺市上の山、0739・22・8132)

[2025年12月11日 UP]




 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」が新しくなった。角を丸く処理した独自のデザインと、軽自動車らしい扱いやすさを追求した一台だ。視界の広さや操作のしやすさを重視しつつ、死角を補う先進装備も大幅に強化された。試乗では見た目の工夫や走行の落ち着きに加え、安心を支える安全機能が随所に感じた。今回は外観・走り・先進安全機能の三つの視点から、その特徴をたどる。

柔らかな四角がつくる個性 生活に寄り添うデザイン


 デザインコンセプトは「かどまる四角」。角を丸く処理した四角形を随所にあしらい、柔らかさと機能性を両立させている。派手さを抑えつつ上質さも漂い、住宅街にも自然に溶け込む落ち着いた印象だ。
 漆黒のフロントグリルにも同モチーフが取り入れられ、光の当たり方で濃淡が変わる表情が面白い。ヘッドライト内部にも同じ形がちりばめられている。形状でいえばスマートフォンのアプリアイコンや高野豆腐が近い。
 側面の工夫も目を引いた。ドアハンドルは従来の「板に穴」があるような造形ではなく、四角が奥に落ち込んだような意匠で、新鮮さがある。この形なら洗車もしやすそうだ。ホイールも同じモチーフで統一され、遊び心を感じる。

視界の良さと穏やかな走り 扱いやすさが際立つ


 この日は快晴で、ちょうど新庄公園のコスモスが見頃。絶好の試乗日和となった。
 車内に乗り込むと、運転席にも「かどまる四角」の模様があしらわれていた。座面の質感はまるでソファのよう。メーターを点灯させると、かどまる四角の速度計が現れた。コンセプトの徹底ぶりに思わず感心する。
 運転席周りにはドアミラー横の柱からサンバイザー前、ダッシュボードまでが茶色のラインで一直線につながる縁取りがある。車に包まれているような安心感を感じた。ハンドルを外せば、おしゃれなカフェスペースにでもなりそうな雰囲気だ。
 市街地や住宅街を走ると、まず視界の良さに気付く。フロントガラスと三角窓が大きく、右左折時の安全確認がしやすい。近年は大型ナビが視界を遮る車も多いが、この車はメーターとナビが並行配置で視界への干渉がない。
 走行中「まぶしくない」と感じた。旧型より前方のルーフが約10cm伸び、フロントガラスの付け根が奥に移動。直射日光が入りにくい造りになっているという。
 ステアリングはなめらか、加速は穏やかだが不足はない。上富田インターの合流でもスムーズに速度を合わせられた。
 静粛性は必要十分で、市街地ではロードノイズがわずかに入る程度。平らな道では落ち着いた乗り味だが、車高の高さゆえ、海沿いの横風ではわずかに揺すられる感覚があった。荒れた舗装では細かな振動を拾うものの、日常の移動で大きなストレスとなるほどではない。

「見えない」を見せる技術 安心感を支える充実装備


 ルークスは運転支援機能が充実している。オプション設定の12・3インチ大型ナビは、運転席から見えない部分を映像で補い、ドライバーをサポートする。曲がり角の先を広く映す「フロントワイドビュー」は、歩行者の早期発見に効果的だった。
 「3Dビュー」は車両を真上から見下ろしたように表示し、駐車枠の位置や周囲の障害物が一目で分かる。免許取りたての若いドライバーや、駐車が苦手な人も安心感だろう。足元の路面を透過しているように映す「インビジブルビュー」は、未舗装路や段差の多い場所で役立ちそうだ。
 衝突被害軽減ブレーキ、後退時の車両検知、踏み間違い衝突防止アシストなども備え、日常のうっかりを防ぐ装備がそろっていた。

日常にちょうどいい相棒 地域の足として頼れる存在

 新型ルークスは、見た目の遊び心と落ち着き、運転中の扱いやすさ、そして死角を補う先進装備の三つが、うまくバランスを取っていた。特に視界の広さは、街乗りだけでなく狭い道が多い場所でも発揮するだろう。送迎や通勤、買い物といった普段使いの場面で、ストレスなく走れる印象が残った。
 室内は軽とは思えないほどゆったりしており、乗り降りのしやすさも含めて、年齢を問わず使いやすい造りだ。安全装備の充実も心強く、高齢のドライバーや運転に慣れていない人にとっても安心感がある。毎日の移動を支える身近な相棒として、生活にしっかり寄り添ってくれる一台だった。

リポータープロフィル

【伊藤大翔】 紀伊民報記者