先進的なインテリア
外観の大きな変更点は、日産が「新世代のデジタルVモーション」と呼んでいる車体と同色のカラードグリルの採用。従来のデザインより一体感が増し、落ち着いたたたずまいになった。リアバンパーも車体と同色になり、左右非対称の模様がさりげなくあしらわれている。
内装では、助手席前のインパネに水引をモチーフにした細い線を入れて和風の仕上げにしている。シートの座面にも細いストライプが施されている。
「えー、これは何ですか」。動画の撮影を担当していたアシスタントが、助手席に乗り込むなり驚きの声を上げた。
視線の先にあったのは、長方形のシフトレバー。センターコンソールの操作部は今回のマイナーチェンジで変更されていないが、その未来的なデザインは初めて見る者にとって衝撃的だったようだ。
パワーユニットも変更はない。発電用の1・2リットル3気筒エンジンは最高出力82馬力、最大トルク10・5kg。車輪を駆動するモーターは116馬力、28・6kgのパワーとトルクを発生する。それにしても、82馬力のエンジンで発電した電気でモーターを回し、4割増しの116馬力の出力を得るというのは、まるで手品のようだ。
それでいてカタログ燃費はガソリン1リットル当たり28・4km(WLTCモード)と優秀な数値。今回の試乗で車載の燃費計は、リッター25km前後を表示していた。
静かで滑らかな走り
3年ぶりに試乗したノート。静粛性や滑らかな加速は相変わらずコンパクトカーとして一級品だ。
第2世代のe-POWERは、エンジンの騒音や振動ができるだけ乗員に伝わらないようにするため、路面が荒れている場所を走っているときや、外部からの騒音が大きいときに積極的にエンジンを回して発電。路面が滑らかな場所や車内の騒音が小さいときにはバッテリーに蓄えた電気で走るという賢い制御をする。
この効果は大きく、運転中にいつエンジンが発電しているのか、いつ停止しているのかは全く分からなかった。
モーターが車輪を駆動するので、アクセルを踏んだときの加速はスムーズで滑らか。荒れた路面を走行中も静粛性に優れ、高速道路を走行中の風切り音も少なかった。
e-POWERのもう一つの特長は、アクセルペダルがブレーキの役割も果たすワンペダル感覚の運転操作。アクセルを踏み込めば加速、閉じればじわりと減速するので、赤信号で停止する場合でも右足をブレーキペダルに踏み替えるのは停止直前になってからでいい。
下り坂の山道でも、カーブの手前でアクセルを戻して減速し、出口で踏み込むという操作で走ることができる。アップダウンが急な山道でも、コーナリング中にブレーキペダルを踏むことはほとんどなかった。
ワンペダル感覚の運転が苦手な人は、ドライブモードを「ノーマル」に設定することで、アクセルペダルによる減速機能をキャンセルすることができる。
プロパイロットはオプション
緊急自動ブレーキや車線逸脱防止支援システムなど基本的な安全装備は標準で付いているが、専用ナビゲーションと連動する運転支援システム「プロパイロット」のメーカーセットオプション(46万2千円)はぜひ装着したい。
周囲を見渡すアラウンドビューモニターや、斜め後方から近づく車両を検知するBSW、バックの際に近づいてくる車両を検知するRCTA、SOSコールなど最新の安全装備がまとめて提供される。コンパクトカーとしてはやや高額になるが安全性、快適性は格段に高まる。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴49年。紀伊民報制作部長