先代のイメージを継承
新型は、一目でスイフトと分かる外観イメージを引き続きながら、車体全体をぐるりと囲むような形状のラインを採用するなどして新しさを打ち出した。ボディーカラーは新色としてフロンティアブルーパールメタリックとクールイエローメタリックを設定。青、赤、白のパール3色は3層コートの塗装を採用して深みのある発色を得ている。
内装は、黒を基調にインパネやドア、コンソールに灰色(サテンダークシルバー)のオーナメントをあしらってモダンに仕上げている。インパネとドアトリムを連続した造形にするとともに、9インチの大型ディスプレーや空調の操作部をドライバー側に傾けて一体感を強調している。
車体の大きさは全長が先代より20mm長い3860mmとなったものの全幅1695mm、全高1500mmは同一寸法。細部を見直すことで前席、後席とも小さな車体ながらゆとりを感じるスペースを確保している。
運転ポジションを身長172cmのリポーターに合わせて後席に座ると、膝の前には握り拳縦一つ分の隙間ができた。頭上にも拳一つ半分のスペースがあり、圧迫感はなかった。また荷室の奥行きは短いが深さがあり、265リットルの容量を確保している。
燃費に優れた新エンジン
試乗に当たって最も興味があったのが、3気筒エンジンの仕上がり。先代の4気筒エンジンは最高出力91馬力/最大トルク12.0kg。これに対して新エンジンは燃焼効率を高めて低燃費を実現しているものの、82馬力/11.0kgとパワーダウンしている。
実際に走ってみてどうなのか。発進は3.1馬力のモーターによるアシストもあって滑らか。新エンジンは低速域のトルクが大きく、特にゴー・ストップの多い市街地では数字以上に力強く感じた。また坂道もエンジンの回転が高まることなく、低速のトルクを生かしてするすると上った。新エンジンに合わせて開発したというCVT(自動無段変速機)もこういった走りに貢献しているようだ。
試乗車の車載燃費計は、販売店で借用した際にリッター22.0kmを表示していた。動画撮影も含めて約1時間の試乗を終えた時点では21.8kmとなった。モーターの出力が大きいストロングHVには及ばないものの、ほぼエンジンで走行する車としてはかなり優秀な数値。郊外や長距離ドライブではさらに数字を伸ばせるだろう。
基本性能の向上と軽量化を両立したというプラットフォームHEARTECT(ハーテクト)は、運転していて車体のしっかり感が伝わってくる。カーブでの身のこなしは軽快で、コーナリング中のロール(横傾き)が少ないのも特徴。高速道路ではステアリングの座りが良く、どっしりとした直進安定性が得られた。
安全装備を充実
昨年11月発売の軽乗用車「スペーシア」に続いて、スイフトの安全装備も機能が大幅に向上した。
ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたデュアルセンサーブレーキサポートⅡは、検知対象に自転車や自動二輪車を追加。交差点での歩行者や対向車の検知にも対応した。車線変更時に後方から接近する車両を確認するブラインドスポットモニターや、バックで駐車場から出る際に自車の左右から接近する車両を検知するリヤクロストラフィックアラートも備える。
また上級グレードのMXとMZは全車速追従のクルーズコントロールを装備。MZは電動パーキングブレーキを装着しているので、高速道路の渋滞などで停止後にブレーキペダルから足を離しても自動的にブレーキが保持される。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴48年。紀伊民報制作部長