新車試乗記

目指せリッター30km ヤリスクロスで紀南一周燃費チャレンジ

トヨタ ヤリスクロス

【スペック】

全長×全幅×全高=4180×1765×1590mm▽ホイールベース=2560mm▽車重=1190kg▽駆動方式=FF(前輪駆動)▽エンジン=1490cc直列3気筒DOHC、67kW(91馬力)/5500回転、120Nm(12・2kg)3800~4800回転▽モーター=59kW(80馬力)、141Nm(14・4kg)▽トランスミッション=電気式無段変速機▽燃料消費率=27・8km(WLTCモード)▽車両本体価格=260万6千円(Zハイブリッド)

【試乗車提供】

自家用車

[2023年10月12日 UP]




 全長4.2mを切るコンパクトな車体や優れた燃費で人気があるトヨタの小型SUV(スポーツ用多目的車)「ヤリスクロス」。ガソリンが高騰している中、その実力を試そうと、紀南地方を一周して「リッター30km」に挑戦した。

走行距離は191km


 燃費トライアルに使った車は2023年6月登録のZハイブリッドで、走行距離は約4000km。まだ新車の堅さが残っている状態なので、走行距離が伸びるとさらに燃費が向上するかもしれない。
 田辺市秋津町の給油所でガソリンを満タンにし、燃費計をリセットした。コースは、田辺バイパスを走行して上富田IC(インターチェンジ)から紀勢自動車道に入り、すさみICで一般道に下りる。国道42号を走って串本町、那智勝浦町を経由して新宮市へ向かう。ここまでの区間は平坦なので、燃費が大きく伸びる可能性がある。
 新宮市からは熊野川沿いの国道168号を走り、田辺市本宮町から国道311号へ入る。そこから田辺の市街地までは山間部のルートになるので、上りの区間で燃費の悪化が予想される。同市中辺路町の小広峠を越えてからの下りでどれだけ挽回できるかが勝負になりそうだ。総走行距離は191kmだった。
 Zハイブリッドのカタログ燃費(WLTCモード、ガソリン1リットル当たり)は市街地29.4km、郊外29.9km、高速26.1kmで、総合27.8km。一般に、実燃費はカタログ燃費の8割程度とされているが、今回のコースは信号が少ない郊外がほとんどなので好燃費が期待できる。
 数値は車載燃費計で確認するが、トヨタの燃費計は1割ぐらいいい数字を表示する傾向があるので、走行距離をガソリンの使用量で割り算する満タン法も併用する。

高速道路でリッター28km


 日常の燃費は、主に通勤に利用してリッター22~24km程度。今回の燃費チャレンジでは過度なエコランはせず、交通の流れに乗って走った。高速道路ではクルーズコントロールを制限速度の70kmにセットして、車任せで走行した。
 秋津町からすさみICまでの高速道路を主体にした区間は、リッター28kmだった。距離もちょうど約28kmだったので、ガソリン1リットルで走った計算だ。
 一般道に下りて速度が遅くなると、燃費は目に見えて向上した。すさみ町内で早くもリッター30kmを超え、串本町の橋杭岩に到着したときには32.6kmを記録した。スタートからの走行距離は69.8km。このペースで行けば、燃費計の誤差を含めても30km超えが期待できる。難関は田辺市本宮町から中辺路町にかけての峠越えの区間だ。

難関は小広峠越え


 本宮町から国道311号に入ると、そこから小広峠まで約14kmの上り坂が続く。モーターのアシストはあるものの、常にエンジンが始動している状態になるので燃費は悪化する。
 本宮での燃費は31.7km。これが小広峠を越えたところで29.0kmまで下がった。いよいよそこからは下り坂。回生ブレーキの働きで駆動用のバッテリーはほぼ満タンの状態が続き、モーターだけで走り続ける。
 中辺路町近露を越えたところで燃費計は30.0kmまで回復。さらに田辺の市街地に到着したころには32.0kmまで伸びた。信号が多い市街地を走行しても燃費が悪化しないのがトヨタのHVのすごいところ。むしろ燃費が良くなるほどで、給油所に到着したときには32.2kmを表示していた。燃費計が正確なら191kmをガソリン5.93リットルで走り切った計算になる。
 ここで、再び満タンまで給油。伝票を見ると7.45リットルも入った。それで燃費を計算するとリッター25.6km。燃費計とは大差がある。たぶん、最初の給油で完全な満タンになっていなかったのだろう。最終的に燃費計の誤差を考慮すると「リッター30kmが達成できたかどうかは微妙なところ」というすっきりしない結論になった。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴48年。紀伊民報制作部長