先進機能をフル装備
アウトドアでの利用を提案した軽スーパーハイトワゴンの先駆けは、スズキのスペーシア・ギア。ダイハツは昨年秋にタントの派生モデルとして「ファンクロス」を発売している。
デリカミニの顔つきは個性的で、まるで動物のように見える。テレビCMに登場する公式キャラクター「デリ丸。」は犬のように走り回るが、設定は犬ではないそうだ。
バリエーションは、自然吸気エンジン(52馬力)を搭載した「G」と、ターボエンジン(64馬力)を搭載した「T」があり、いずれも発進時などに2.7馬力のモーターで補助するマイルドハイブリッドになっている。駆動方式はFF(前輪駆動)と4WD(四輪駆動)がある。
上級グレードである「プレミアム」は、軽自動車とは思えないほど多彩な先進機能を装備している。例えば、後方の映像をカメラで映し出すデジタルルームミラーは、周囲の安全確認ができるマルチアラウンドモニターも兼ねている。高速道路の運転を支援する「マイパイロット」は、全車速追従のレーダークルーズコントロールと同一車線運転支援機能により、長距離ドライブでの疲労を軽減してくれる。
助手席側の電動スライドドアは、キーを持っていれば足先をドアの下にかざすだけで自動開閉する。
グレード別の販売比率は、装備の充実した「プレミアム」が8割以上、駆動方式別では4WDが6割を占めているという。
車両本体価格は180万4千円(GグレードのFF)~223万8500円(Tプレミアムの4WD)。
本格的なオフロード機能
デリカミニは、アウトドアでの利用を想定して、最低地上高を一般の乗用車より20mmほど高い160mmに設定。シートには水や汚れを拭き取りやすいはっ水生地を採用している。荷室の床も樹脂なので、汚れた物を載せた後の掃除がしやすい。
本格的なオフロード機能として、雪道やぬかるんだ路面で片側の駆動輪が空転した場合にも駆動力を確保するグリップコントロールや、急な下り坂で車速を4~20kmにコントロールするヒルディセントコントロールを備えている。
後部座席は前後に320mmスライドし、一番後ろに下げると足が組めるほどの広さになる。荷物が多いときには前に出して荷室のスペースを増やすことができる。
ターボ車がお薦め
試乗車は、自然吸気エンジンを搭載したGプレミアムの4WD車。車重は1050kgと重い。平らな市街地では不自由しないが、急な上り坂などでは力不足を感じた。
車重の重さは乗り心地の面ではプラスに働き、軽自動車でありながらしっとりとした感触が伝わってくる。柔らかめのシートも座り心地が良かった。
高速道路の走行中は「マイパイロット」をセットすれば、ドライバーはリラックスしていられる。高速走行でも乗り心地はしっとりしていた。ただ、緩やかな上り坂で速度を維持するために、エンジン回転が4500回転前後まで高まることがあった。ここでも、もう一段パワーが欲しくなった。山坂道を走る機会が多い人や家族を乗せる機会が多い人にはターボ車をお薦めしたい。
意外だったのは、デジタルルームミラーの見やすさ。「デジタルミラーは見にくい」という先入観があったが、試乗車のミラーは解像度が高く、後方の様子を鮮明に映し出してくれた。
リポータープロフィル
【長瀬稚春】 運転免許歴48年。紀伊民報制作部長