新車試乗記

愛らしいデザインを継承

ダイハツ キャンバス

【スペック】

全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm▽ホイールベース=2460mm▽車重=900kg▽駆動方式=FF▽エンジン=658cc水冷3気筒DOHCターボ、47kW(64馬力)/6400回転、100Nm(10.2kg)/3600回転▽燃料消費率=22.4km(WLTCモード)▽トランスミッション=CVT▽車両本体価格=179万3千円(ストライプスGターボ)

【試乗車提供】

田辺ダイハツ販売
(田辺市東山1丁目、0739・22・2323)

[2022年10月13日 UP]

 ダイハツは、かわいらしいデザインと両側スライドドアで人気の軽乗用車「ムーヴ・キャンバス」をフルモデルチェンジして発売した。デザインを継承しながら、落ち着いた雰囲気のバリエーションを追加。ターボエンジン搭載モデルも加えて走りの面でも満足度を高めた。

落ち着いたカラーも設定


 キャンバスは「両側スライドドアを装備したハイトワゴン」という新しいジャンルを確立した車。「スーパーハイトワゴンほど大きなスペースは要らないが、スライドドアは欲しい」というユーザーの心をつかんだ。女性ユーザーをターゲットにした丸形ヘッドランプのかわいらしい顔つきとツートーンカラーの車体色が特徴。
 新型キャンバスは、従来のツートーンカラーを継承した「ストライプス」と、モノトーンの落ち着いたカラーリングの「セオリー」という二つのバリエーションで展開。セオリーは男性ユーザーも気後れせずに乗れるので、さらに幅広い層に受け入れられそうだ。
 また、今回のフルモデルチェンジでは新しいプラットフォームを採用し、車体の剛性を上げながら車重を50kgも軽量化。ライバルのスズキ・ワゴンRスマイルと並ぶ軽い車体になった。人間1人分軽くなっているので、加速性能や燃費にも好影響が出てくる。

ターボは走りに余裕


 試乗車は待望のターボモデル。最高出力64馬力、最大トルク10.2kgの力強いエンジンを搭載しているので、発進加速は普通車と変わらないほど強力だ。トランスミッションには発進時の動力伝達に優れたD-CVTを採用。アクセルの踏み加減に応じて車速が直線的に増していく。
 このエンジンは低回転でも力があるので、少し急な坂道でも2千回転も回せば余裕を持って上っていく。
 足回りはソフトな設定で乗り心地はいい。道路の補修跡を乗り越えた際のショックも上手にいなしてくれる。カーブでステアリングを大きく切り込んでも、スーパーハイトワゴンほど背が高くないので不安を感じることはない。
 路面から伝わる騒音も少なめ。試乗車にはエコタイプのタイヤが装着されていたが、快適性の高いタイプに変えると乗り心地や静粛性がさらに向上しそうだ。
 高速道路では直進でのステアリングの据わりが良く、乗り心地もいい。全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)を標準装備しているので、長距離ドライブも楽にこなせる。時速70kmで走行しているときのエンジン回転数はおよそ1600回転。高速走行でも省燃費が期待できる。

センスのいい内装


 運転席に座ると、ドライバーの目線は少し高めで、ごく自然な運転姿勢になる。インパネの中央には10インチの大型ディスプレーが据えられている。
 内装は黒と明るいベージュのツートーンカラー。布地のシートはクッションに厚みがあってふかふかしている。ちょっと広めの肘掛けが付いているのもありがたい。内装には決して高級な素材は使っていないが、センスのいい仕上げになっている。
 使い勝手の面では、小物を置くフラットな棚があったり、温かい飲み物の温度を保つカップホルダーを初採用したりするなど、利用者の意見が各所に反映されている。
 後部座席はとても広く、大きくスライドするリアシートを一番後ろまで下げると、膝の前にこぶし縦三つ分の空間ができる。このシートの下にはスライド式の収納箱「置きラクボックス」が設置してあり、ワンタッチで引き出して買い物袋を倒れないように置くのに便利。
 最上級グレードのGとGターボには、降車時に予約をしておくと、乗車時に車に近づいただけで自動的にスライドドアが開くウエルカムオープン機能も採用されている。
 試乗中に何度かキャンバスとすれ違ったが、従来型か新型か見分けがつかないほど似ているのでつい気を引かれてしまった。その愛らしい姿がこれからさらに増えそうだ。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴47年。紀伊民報制作部長