新車試乗記

日産 ルークス

【スペック】

全長×全幅×全高=3395×1475×1780mm▽ホイールベース=2495mm▽車重=1010kg▽駆動方式=FF▽エンジン=659㏄水冷3気筒DOHCターボ、47kW(64馬力)/5600回転、100Nm(10.2kg)/2400~4000回転▽モーター=2.0kW/1200回転、40Nm/100回転▽トランスミッション=CVT▽燃料消費率=18・8km(WLTCモード)▽車両本体価格=193万2700円

【試乗車提供】

日産プリンス和歌山販売田辺支店
(田辺市上の山1丁目8の16、0739・22・8132)

[2020年5月14日 UP]

 日産自動車の軽乗用車「ルークス」は、国内市場で最も人気があるスーパーハイトワゴンに属する新型車。広い室内と先進の運転支援技術「プロパイロット」により長距離ドライブを快適にこなす。

広い後部座席


 日産と三菱自動車の合弁会社NMKVがマネージメントし、日産が企画・開発した軽乗用車の第2弾。今回のモデルチェンジで名称を「デイズルークス」から「ルークス」に変更した。三菱からは「eKスペース」「eKクロス・スペース」として発売された。
 軽乗用車と普通車(登録車)を合わせた昨年の国内新車販売ベスト3は1位ホンダ「N-BOX」、2位ダイハツ「タント」、3位スズキ「スペーシア」となっており、軽のスーパーハイトワゴンが上位を独占した。4位には日産のハイトワゴン「デイズ」が食い込んだ。
 ルークスは後部座席の使い勝手がいい。後部ドアは、スーパーハイトワゴン定番の両側スライドドア。開口部は650mmと広いので、成人男性でも乗り降りが楽だ。さらに中間グレードは片側、上級グレードは左右のドアがハンズフリーオートドアになっているので、両手がふさがっていても片足を車体の下に振り入れるだけで開けることができる。
 後部座席は左右独立して前後に320mmスライドする。一番後ろに下げると、身長173cmのリポーターでも膝の前には握り拳縦4つ分の空間ができ、楽々と足が組めた。頭上も握り拳縦3つ分の空間があり、広々している。床から天井までの高さは139cmあり、小さな子どもなら立ったまま移動したり着替えをしたりできる。
 試乗車はメーカーオプションの折り畳み式テーブルやスマートフォン充電用のUSBソケット、天井にはプラズマクラスター搭載の後席用エアコン吹き出し口を装備していた。

しっかりした車体


 ルークスのエンジンは、最高出力52馬力の自然吸気エンジンと64馬力のターボエンジンの2種類。これを最高出力2kWのモーターで補助する。
 自然吸気エンジン搭載車は「S」「X」「ハイウェイスターX」「ハイウェイスターXプロパイロットエディション」の4グレード。ターボ車は「ハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション」の1グレードとなる。それぞれに前輪駆動(FF)と四輪駆動(4WD)が設定されている。
 試乗車は最上級グレードのハイウェイスターGターボ・プロパイロットエディション。乗り込む際にまず、ドアの閉まる音がしっかりしていることに気付く。運転席のシートは背もたれの左右の支えがしっかりしていて座り心地がいい。長距離ドライブに欠かせないアームレストも備えている。内装はプラスチックを多用しているが安っぽさは感じない。
 走りだすと、車体のしっかり感が伝わってくる。一般道を40~50kmで走っていると、室内に入ってくる騒音も小さい。
 大柄な車体に左右のスライドドア、さらに安全装備も満載しているので車重は1010kgと1tを超える。兄弟車種のデイズと比べると、同じターボ車で130kg重い。
 スーパーハイトワゴンのライバルであるホンダN-BOXやダイハツのタント・カスタムRS、スズキのスペーシアカスタムは900~930kgなので、100kg前後重いことになる。
 ターボエンジンは軽やかに回るので、街中では重さを感じさせず、上り坂でも余裕がある。一方で、信号で停止していた先で車線変更をするために前に出たい、というような急な加速が必要なときにはハンデを感じる。
 車体は剛性感があり乗り心地はいいが、重心位置が高いようで、早めの速度でカーブに進入すると背の高い車特有のアンダーステアが出てくる。急カーブでは丁寧な運転を心掛けたい。

快適な高速走行


 プロパイロットは、高速道路の長距離走行を格段に楽にしてくれる。紀勢自動車道の緩やかなカーブでも、ステアリングに軽く手を添えているだけで車が方向を決めて道なりに走ってくれた。また、プロパイロットをオフにしても直進安定性は高い。高速走行中の騒音も小さい。試乗した日は無風だったこともあるが、背の高い車にもかかわらず風切り音も小さかった。
 プロパイロットは全車速に対応し、オートブレーキホールドの機能もあるので、渋滞時には前方の車の発進・停止に合わせてアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作をやってくれる。
 また、全車に標準搭載されたのがインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)。前方を大型トラックやバスが走っているとその先の車の動きは見えないが、インテリジェントFCWは2台前を走る車両の車間や相対速度をミリ波レーダーで検知し、減速が必要な場合には警報を出し、玉突き衝突の回避を支援する。軽乗用車では初の採用という。
 ルークスは室内が広くて装備が充実し、高速道路の走行も楽なので、家族4人での長距離ドライブを快適にこなしてくれそうだ。

ライバルは?

ホンダN-BOX
新車販売のトップを走り続けているベストセラーカー。特にカスタム・ターボは動力性能、静粛性に優れ、普通車のミニバンに乗っていると錯覚するほど。

ダイハツ・タント
助手席側が大きく開くミラクルオープンドアが特長。車を降りるときに予約しておけば、戻ったときにパワースライドドアが自動で開くウエルカムオープン機能もある。

スズキ・スペーシア
スペーシア、スペーシアカスタム、スペーシア・ギアの3タイプがある。自然吸気エンジンのスペーシアは車重が850kgと軽いので、ターボが付いていなくても軽快に走る。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴45年。紀伊民報制作部長