新車試乗記

トヨタ RAV4

【スペック】

全長×全幅×全高=4600×1855×1685mm▽ホイールベース=2690mm▽車重=1590kg▽駆動方式=4WD▽エンジン=1986cc直列4気筒DOHC、126kW(171馬力)/6600回転、207Nm(21.1kg)/4800回転▽トランスミッション=CVT(自動無段変速機)▽燃料消費率=15.2km(WLTCモード)▽車両本体価格=320万2200円

【試乗車提供】

ネッツトヨタ和歌山・田辺店
(田辺市新庄町1895、0739・22・4979)

[2019年5月16日 UP]

 トヨタのスポーツ用多目的車(SUV)RAV4が3年ぶりに復活した。3方式の四輪駆動(4WD)が用意されている本格的なオフロードモデルだが、舗装路主体で乗るのなら前輪駆動(FF)のモデルも選択肢の一つだ。

4種類の駆動方式


 RAV4は1994年に小型SUVとして登場。現在、トヨタの主力車種として世界180カ国で販売されている。国内では一時販売が停止されていたが、3年ぶりに復活した。
 コンパクトだった車体はモデルチェンジを重ねるごとに大きくなり、5代目の新型は全長4600mm、全幅1855mm、全高1685mmの堂々としたサイズになった。日産エクストレイルやホンダCR-V、スバル・フォレスターなどがライバルになる。
 パワーユニットは最高出力171馬力の2リットルガソリンエンジンと、システム最高出力218~222馬力の2.5リットルハイブリッド(HV)の2種類。ガソリンエンジンは熱効率を40%まで高めたダイナミックフォースエンジンで、発進用ギアを備えた自動無段変速機(CVT)と組み合わせている。
 駆動方式は四輪駆動(4WD)3種類と前輪駆動(FF)の計4種類が用意されている。このうち、ガソリンエンジンと組み合わせられる4WDはダイナミックトルクコントロール4WDと新開発のダイナミックトルクベクタリングAWDの2種類。
 トルクベクタリングAWDは、前後輪のトルクを配分するだけでなく、左右後輪のトルクも独立して制御する。これによりドライバーの狙い通りのラインで安定してカーブを曲がったり、滑りやすい路面や不整地で操縦性が高まったりするという。さらに路面の状態がよく、4WD走行が不要と判断した場合には後輪を駆動系から完全に切り離して燃費の向上を図る。
 試乗車に採用されていたのは、従来方式のトルクコントロール4WD。走行条件に合わせて前輪と後輪のトルクを最適に配分する。HVモデルの4WDは、後輪を独立したモーターで駆動し、前後輪のトルク配分を100対0から20対80まで変化させる。

舗装路でも快適


 試乗車は、装備が充実したガソリンエンジンのGグレード。試乗前日にナンバーが付いたばかりの新車だ。
 現行のSUVはどれも室内が豪華だ。RAV4の内装も丁寧に仕上げられている。インパネは直線基調のデザインで、黒とグレーの落ち着いた色合い。合成皮革の電動シートは肌触りがよく、座り心地もいい。車両本体価格は320万円だが、これにオプションのナビや登録諸費用を加えるとざっと400万円になるから、高級車の領域に入る。
 乗り込むと、フロントガラス横のAピラー(柱)が視界を妨げない形になっているなど運転席からの見晴らしはよく、ボンネットの一部が見えるので車幅の感覚もつかみやすい。
 搭載の2リットルエンジンは、レギュラーガソリン仕様としては高出力で、大柄な車体を過不足なく引っ張る。発進用のギアを備えたCVTは加速が自然だ。アクセルを踏んだとたんにエンジン回転だけが高まり後から速度が乗ってくるCVT特有のくせを軽減している。
 足回りはタフなオフロードモデルであるランドクルーザーのようにふわふわしたものではなく、ほどよく引き締まっていて乗り心地がいい。直進安定性がある一方でカーブでの挙動が素直で、ステアリングを切った分だけすっと頭の向きを変えていく。車体がカーブの外側に引っ張られるアンダーステアは小さく、ロール(横傾き)も少ない。今回の試乗は舗装路だけだったが、雪道や砂利道など滑りやすい路面での挙動も試してみたくなる。
 車内に入ってくるエンジン音や路面からの騒音は小さく室内は静かだが、高速道路では風切り音が少し気になった。時速70kmで走行中のエンジン回転はおよそ1200回転。駆動の状況をメーターで確認すると、高速道路はほぼFFで走っていた。高速道路でのカタログ燃費はWLTCモードでガソリン1リットル当たり17.4kmと優秀だ。
 リアシートも座り心地がよく、ガラス面積が広いので見晴らしがいい。身長173cmのリポーターが座って膝前に握り拳縦一つ分、頭上は二つ分の余裕があった。荷室は浅いが奥行きがあり、容量は580リットル。後席に人を乗せても荷物をたっぷり積むことができる。

最適なグレードは


 舗装路での快適性と本格的な悪路走破性を両立させているのがRAV4の特徴だ。今回の試乗は舗装路のみだったが、不整地で試乗した販売店スタッフによると、一輪が浮くような凹凸の激しい場所も余裕で走ることができるという。
 4WDはマッド&サンド、ノーマル、ロック&ダートの三つのモードに切り替え可能で、路面の状況に応じて駆動輪や駆動力、ブレーキを統合制御する。
 安全装備は、自転車や歩行者も検知する衝突回避支援システムや高速道路でのはみ出し防止といった機能を標準装備している。昨年発売されたカローラスポーツやクラウンに続いて、車載通信機DCMも標準装備されており、オペレーターによる目的地設定や緊急時のサポートが3年間無料で受けられる。
 RAV4は4WDよる悪路走破性に優れているだけでなく、長距離ドライブを快適にこなせるなどファミリーカーとしても使いやすい。舗装路主体で使うのであればFFモデルも魅力的だ。
 最も安いFFのXグレードは車両本体価格が260万8200円。これに対してXの4WDは283万5000円で、価格差は22万6800円。装備が充実したGの4WDになると320万2200円になり、価格差は59万4000円に広がる。トルクベクタリングAWDを採用した「アドベンチャー」は313万7400円。利用目的と装備、価格、駆動方式を考慮して最適なグレードを選びたい。

リポータープロフィル

【長瀬稚春】 運転免許歴44年。紀伊民報制作部長